映画【2012】感想(ネタバレ):崩壊する地球と駆け抜ける家族の物語、壮大なスペクタクル

2012-2
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●こんなお話

 2012年にトンデモない天変地異が起こって人類パニックな話。

●感想

 物語は、地球の深部で異常な熱の上昇を感知した科学者の警告から始まる。舞台はインド。科学的なデータが静かに世界の終わりを告げるなか、一方ではアメリカに暮らす売れない小説家が、リムジンの運転手として働きながら、別れた妻とその間にできた子どもたちと久しぶりにキャンプへ向かっていた。

 キャンプ地では、ラジオから流れてくる陰謀論じみた話が耳に入る。政府が地球の終わりを知りつつ、それを隠して要人たちだけを救う計画を進めているのだという。最初は冗談だと流しながらも、立ち入り禁止区域に足を踏み入れて軍に拘束されるなど、次第に現実の輪郭があやしく揺らぎ始め、やがて主人公は陰謀論者と直接会い、彼の語る内容が事実であると確信を持つに至る。そこからは、一家を連れての必死の逃避行が始まる。地面が崩れ、街が裂けていくなか、リムジンでひたすら逃げるシーンは圧巻。建物が次々と崩壊していく背後を、小型機で飛び立つスリリングな瞬間には、手に汗を握って見入ってしまいました。

 一方、政府の側でも避難計画が着々と進行しており、選ばれた人々だけが救いを得られる状況に、多くの別れと悲しみが重なっていく。人類の存続をかけた計画は、中国奥地の山岳地帯で進められており、そこへ向かうため、主人公たちはロシア人の富豪の所有する大型機に便乗させてもらい、中国を目指すことになる。

 途中、ハワイで燃料を補給しようとするが、火山噴火によって島全体が炎に包まれていた。燃料切れ寸前で不時着を試みるなか、大陸移動の影響で現れた氷河に奇跡的に着陸。そこから再びトラックで避難船を目指す展開となる。

 やがて、中国で極秘に建造されていた巨大な避難船に忍び込むことに成功するも、避難対象でない人々が扉の外に溢れ、助けるか否かの葛藤が生まれる。扉を開いたことで主人公たちが身を隠していた場所が危険にさらされ、犠牲者も出る。そしてその影響で扉が閉まらなくなるという緊急事態が発生。地球を飲み込む大津波が押し寄せる中、命綱である扉をなんとか閉じて、ぎりぎりでの脱出に成功する。

 最後に、わずかに生き残った人類がアフリカ大陸へと向かう様子が描かれ、世界の再出発を示唆するエンディング。

 映像の迫力は凄まじく、都市が崩壊していく場面の連続に、目を奪われ続ける2時間30分でした。火山の大噴火や津波、地割れといった大災害のオンパレードに、観ている間は息をつく暇もなく、常に画面に惹きつけられていた気がします。また、登場人物たちが直面するパーソナルな危機と、国家レベルで進行する避難計画が交差して描かれていて、スケールの広がりも感じられました。こういった作品は、映像の中にある非現実を楽しむという意味でも魅力的ですし、巨大な危機のなかで人間がどう振る舞うのかを見るのも一つの面白さだと感じました。

 とはいえ、物語が進むにつれて主人公一行の“都合の良さ”が少し目立ってしまい、途中から少し気になってしまう部分もありました。あまりにも危機をギリギリで乗り越え続ける展開が続くと、やや白けた気持ちになる瞬間もあったり、一緒に行動していた人たちが簡単に命を落とす展開に対して、感情の追いつかなさもありました。また、主人公たちが忍び込んだことが原因で避難船に問題が起きたのも事実で、それを見ていると、「彼らがいなければ、もっと多くの人が助かったのでは」と考えてしまったのも正直なところです。

 それでも、映像の力と、全編を通して途切れないスリル、そして人間模様の交錯によって、最後まで集中して観られる娯楽作品であったと思います。大きなスクリーンで味わう災害スペクタクルとして、非常に魅力のある一本でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2010/04/29 Blu-ray 2014/10/09 Blu-ray 2023/01/29 NETFLIX

監督ローランド・エメリッヒ 
脚本ローランド・エメリッヒ 
ハラルド・クローサー 
出演ジョン・キューザック 
キウェテル・イジョフォー 
アマンダ・ピート 
オリヴァー・プラット 
タンディ・ニュートン 
ダニー・クローヴァー 
ウディ・ハレルソン 
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