●こんなお話
いつも通り悪い外国人と戦ったり奥さんとの日々を大切にする話。
●感想
1959年の香港で、詠春拳の達人イップ・マンは静かに門下生へ拳法を教えながら、妻のチョン・ウィンシンと次男のチンと共に穏やかな日々を送っている。家族三人で過ごす時間を大切にしていた。
ある日、若きブルース・リーが訪ねてきて弟子入りを願い出るが、イップ・マンはその才能を感じ取りつつも、正式な弟子入りは保留にする。
その頃、チンが学校で同級生のフォンと喧嘩を起こし、その謝罪と和解のために家に招いて食事をすることになり、そこでイップ・マンはフォンの父であるチョン・ティンチーと出会う。
ティンチーは同じ詠春拳の使い手でありながら貧しく、表舞台に立つ機会を得られずにいたが、イップ・マンに対して尊敬と劣等感を同時に抱いていた。
一方、アメリカ人の不動産業者フランクは香港の再開発を狙い、裏社会のボスであるマ・キングサンを使って学校の土地を強引に買い上げようとする。校長がこれを拒否すると、マの手下たちは学校を襲撃し、教師や生徒を脅すようになる。イップ・マンはその場に居合わせ、暴力を止めるが、マは人質を盾にして逃げる。
イップ・マンは旧友である警官のファット・ポーと協力し、地域の大人たちと共に自警団を組織して学校を守ろうとするが、夜になると放火や拉致が繰り返され、事態は深刻化していく。
ティンチーも戦いに加わり校長を助けるが、マに利用されて別の武術家を襲撃させられ、結果的に裏社会の一員として扱われるようになる。
やがてチンたち子どもが誘拐され、イップ・マンは単身でマの造船所に乗り込み、激しい戦いの末に息子たちを救出する。この騒動を見たフランクはマを切り捨て、代わりにムエタイの戦士を雇ってイップ・マンを始末しようとする。
その頃、イップ・マンはウィンシンが胃がんで余命が長くないことを知らされる。彼は治療のために病院へ向かう途中でムエタイ戦士に襲われるがこれを退け、フランクの前に姿を現す。
フランクは三分間、自分と戦って倒れなければ学校から手を引くと条件を出し、イップ・マンは体格差のあるフランクと互角の死闘を繰り広げ、約束どおり学校を守り抜く。
一方でティンチーはマから得た金で道場を開き、自分こそが正統な詠春拳の継承者だと名乗りを上げる。彼はイップ・マンに決闘を申し込み、どちらが本物の詠春拳かを決めようとする。
イップ・マンは当初、病床の妻と過ごす時間を優先して決闘を断るが、ウィンシンの後押しによって戦いに臨む。
杖や蝶刀、徒手による技を駆使した長い戦いの末、イップ・マンはティンチーを打ち破る。敗北を受け入れたティンチーは自らの看板を下ろし、イップ・マンは真に大切なものは名声ではなく家族と共にある時間だと語る。
その後ウィンシンは1960年に亡くなり、イップ・マンは深い悲しみを抱えながらも詠春拳の継承と指導を続け、その技と精神は世界へと広がっていっておしまい。
イップ・マンが穏やかな家庭生活を送っているところに、外から騒動が押し寄せてくる構成は、とてもシリーズらしい導入だと感じました。
学校を守るために立ち上がる展開は王道でありながら、詠春拳という武術の精神と地域社会のつながりが重なって描かれていて、物語への入り込みやすさがありました。
ドニー・イェンさんのアクションは今回も圧倒的で、特にムエタイ戦士やフランクとの戦いは、詠春拳の間合いとスピードの魅力を存分に味わえる見応えのある場面でした。
マイク・タイソンさんとの三分間の戦いは、純粋なパワーと技のぶつかり合いとして非常に印象に残りました。
また、ウィンシンとの日常が丁寧に描かれている点も心に残りました。社交ダンスを習う場面や、何気ない会話の積み重ねが、後半の展開をより切なく、そして温かいものにしていたように思います。
アクション映画でありながら、夫婦の時間がこれほど大切に扱われているのは、このシリーズならではの魅力だと感じました。
一方で、ティンチーというキャラクターの立ち位置が途中で何度も変化するため、物語の流れが少し分かりにくくなる部分もありました。ただ、彼の抱える劣等感や野心が丁寧に描かれているため、単なる悪役では終わらず、人間的な奥行きを感じさせる存在になっていた点は印象的でした。
全体としては、アクションの迫力と人間ドラマがうまく重なり合った作品で、シリーズの中でもとくに感情に訴えかけてくる一本だったと思います。拳で戦いながらも、最終的にイップ・マンが選ぶのは家族との時間であるという描き方が、とても静かで美しく心に残りました。
☆☆☆
鑑賞日: 2017/10/04 TSUTAYA TV 2020/06/27 NETFLIX 2026/01/14 U-NEXT
| 監督 | ウィルソン・イップ |
|---|---|
| 脚本 | エドモンド・ウォン |
| 出演 | ドニー・イェン |
|---|---|
| マックス・チャン | |
| リン・ホン | |
| パトリック・タム | |
| カリーナ・ン | |
| マイク・タイソン |



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