映画【くまのプーさん(2011)】感想(ネタバレ):可愛いキャラクターたちが繰り広げる唯一無二のボケ満載アニメ映画

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●こんなお話

 はちみつを求めてさまようプーさんと仲間たちの話。

●感想

本作でまず驚いたのは登場人物の全員が一種の「ボケ集団」であるという点でした。全員が次々とボケをかまし、そのボケをお互いに全く突っ込まずにスルーするという独特のスタイルが徹底されており、そのおかげで非常に不思議な空気感を醸し出しておりました。しかも、それを可愛らしいキャラクターたちが繰り広げるため、観客によってはほっこりと温かい気持ちで楽しむ方もいれば、一方で少々イライラしてしまう方もいるかもしれません。

 物語の進行方法も非常に興味深く、絵本の世界を舞台にしているということで、ストーリーが絵本を読むという流れの中で展開していくという演出が施されています。この手法は、子どもから大人まで幅広く楽しめる工夫だと感じました。

 上映時間は60分ほどと短めで、その中で大きな事件や波乱が起こるわけではなく、キャラクターたちが自由気ままにドタバタと動き回る様子を、観客が暖かく見守るという構成になっています。登場人物全員が好き勝手に振る舞うという珍しい作風は、逆に新鮮で興味深く、そうした点を楽しむことができました。 

 具体的には、クリストファー・ロビンのメモを読んだプーさんたちが、何やら怪物にさらわれたと誤解してしまい、囮を使って怪物を落とし穴に落とそうと奮闘する場面。ところが、まずプーさんがハチミツに釣られて穴に落ちてしまい、彼を助けようとした仲間たちも次々と落下します。最後に残った仲間が、一人一本のロープを平等に切ってしまうという大ボケをかますのですが、周囲はただ見上げるだけで誰も突っ込まないという、その間の取り方が非常に笑いを誘います。やはり「誰か一言ツッコんでほしい!」と思わず声をかけたくなるシーンです。

 その後、どうやって穴から脱出するのかと思いきや、ドタバタの中で本の活字が天井から落ちてきて、それを文字通り積み上げることで救われるという展開に。非常にさりげなく終わってしまうのですが、ここもこの作品らしいユルさが光っておりました。全体的に、細かいツッコミは一切不要で、キャラクターの魅力で魅せることに重きを置いた作品であると感じました。

 最後は、尻尾を失った仲間に尻尾をプレゼントしてハッピーエンドで幕を閉じるシンプルな結末ですが、見たことのない独特な雰囲気を存分に楽しめる60分の映画として、飽きることなく鑑賞できました。

☆☆☆

鑑賞日:2012/03/04 DVD

監督スティーブン・アンダーソン 
ドン・ホール 
脚本バーニー・マティンソン 
原作A・A・ミルン 
出演(声)ジム・カミングス 
ジャック・ブリュター 
トラヴィス・オーツ 
バド・ラッキー 
クリスティン・アンダーソン=ロペス 
ワイアット・ディーン・ホール 
トム・ケニー 
クレイグ・ファーガソン 
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