●こんなお話
ベトナム戦争初期の戦闘を描いた話。
●感想
フランス軍がベトナム軍に苦戦するところを経て、アメリカがベトナム戦争へ深く踏み込む時代が訪れる。1965年、陸軍中佐ハル・ムーアは新たに編成された空中機動歩兵部隊、第7騎兵連隊第1大隊の指揮官に任命される。彼は訓練段階から兵士たちに厳しい規律を課し、自らが最初に戦場へ降り、最後に戦場を離れると誓い、その覚悟を部下たちへ示していく。軍人の家族を支えてきた妻ジュリーは、不安を抱えながらも兵士の妻たちと共に日々を送っていた。
大隊は中央高地イア・ドラン渓谷への投入を命じられる。そこは北ベトナム軍の精鋭が潜む要地で、ヘリで降下したムーア大隊は着地直後から激しい包囲戦に巻き込まれる。四方から迫りくる敵に対し、ムーアは動じることなく指揮を取り続け、兵士たちを死地から救うために奔走する。パトロール中に孤立したガロウ中尉の小隊を救うため、危険を承知で救出作戦を決断し、空爆と砲撃支援を重ねながらなんとか持ちこたえる。
夜になると北ベトナム軍は波状攻撃を繰り返し、戦場では銃撃、白兵戦、爆音が途切れることなく続く。通信兵や衛生兵、若い士官たちが必死に仲間を守りながら混乱の中を駆け回り、地面には煙と血の匂いが充満する。 アメリカ本土では、ジュリーが他の妻たちと共に“訃報を告げる電報”の扱いに心を痛め、自ら奔走し家族同士を支え合う形が生まれていく。
前線では数百名規模の突撃が続き、弾薬が底をつきかけるなか、ムーアは航空支援を求め、最終的には大規模なナパーム爆撃で敵の陣形を崩す。しかし混乱の中で味方が巻き込まれかける場面もあり、地獄のような一日が続いていく。夜明けを迎える頃には互いの犠牲が積み重なり、戦場一帯は焦げた草と破壊された装備が広がるばかりだった。
撤退の際、ムーアは「最後の一人が安全になるまで離れない」と宣言し、本当に部隊全員の退避を確認してからヘリに乗り込む。帰還後、兵士たちは亡くなった仲間を追悼し、それぞれの家族のもとへ戻っていく。イア・ドランの戦いで戦った兵士たちを追悼しておしまい。
本作は戦闘シーンの激しさが際立っており、空爆の衝撃や焼け死んでいく兵士たちの描写は目を逸らせない迫力を持っていたと感じました。メル・ギブソン演じるムーア中佐の、軍人としての気骨や部下への強い責任感は存在感があり、画面に登場するだけで緊張感が生まれるようでとても印象深かったです。
一方、全体にスローモーションや重厚な音楽が多用され、戦場の混乱を表現している反面、映像の厚みが続き過ぎて疲労感を覚えるところもありました。戦術的な駆け引きがあまり描かれなかったため、広大な草原での撃ち合いが中心となり、戦況の推移を追う興味が薄れてしまった印象もあります。
それでも、戦地で夫を待つ妻たちの心情や、家族が背負う重さを丁寧に扱っていた点は胸に迫るものがあり、わずかながら北ベトナム側の兵士たちにも目を向けようとする姿勢には誠実さを感じました。最後には、戦争がなぜ起きるのかという根本的な思いが湧き上がり、命を奪い合う愚かしさをあらためて考えさせられる作品だったと感じています。
☆☆☆
鑑賞日: 2016/12/04 DVD 2025/11/30 U-NEXT
| 監督 | ランダル・ウォレス |
|---|---|
| 脚本 | ランダル・ウォレス |
| 原作 | ハル・ムーア |
| ジョー・ギャロウェイ |
| 出演 | メル・ギブソン |
|---|---|
| マデリーン・ストウ | |
| グレッグ・キニア | |
| サム・エリオット | |
| クリス・クライン | |
| ケリー・ラッセル | |
| バリー・ペッパー |



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