映画【タフ PART IV 血の収穫篇】感想(ネタバレ):連作で深化する殺し屋の世界:東京の異空間で繰り広げられる追跡と復讐劇

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●こんなお話

 残りの1人の殺し屋を始末するために自分を狙わせて尾行したり逆恨みされて狙われたりする話。

●感想

 5人いた殺し屋のうち、すでに4人を倒した主人公。残る1人の刺客が、エージェントである根岸季衣演じる人物を狙うことを逆手にとり、彼女を囮にして殺し屋を誘い出す作戦が展開されるところから物語が始まる。

 東京の街を歩く根岸季衣の姿を、殺し屋が執拗に尾行。尾行中、通行人に声をかけられてしまった殺し屋は、怪しまれる前にトイレでその人物を殺害するなど、容赦のない行動を取る。そして、2人はフェリーに乗り込む。根岸季衣は、囮として用意したボーイフレンドと恋人同士のように振る舞うが、肝心の主人公は渋滞に巻き込まれてフェリーに間に合わず。結果、ボーイフレンドは何者かに殺されてしまう。

 しかし、主人公は実は変装してすでに船に乗っており、ついに殺し屋と対峙。銃撃戦の末に殺し屋を瀕死に追い込み、彼はかろうじてサドという名のエージェントの元へたどり着くが、そのまま息を引き取る。

 激怒したサドは、主人公たちの背後を探るため、最近活動し始めた殺し屋を調査し、ついに主人公と根岸季衣が勤務するクラブにたどり着く。そして、主人公の目前に現れ、激しい襲撃を仕掛ける。

 サドは主人公を捕らえ、拷問を通じて背後にいるエージェントの名を吐かせようとするが、主人公は一切口を割らない。そんな中、サドと行動を共にしていた女性が、主人公の周りに漂う幽霊の姿を見る。それは自分の兄であることが判明し、彼女はサドを銃で撃ち殺す。

 その後、主人公と彼女は共に逃げようとするが、根岸季衣が現れてその女性を射殺し、主人公を救出。物語はクライマックスへと突入する。

 ラストシーンでは、主人公が自分を捨てた父親のもとを訪れ、これまでの怒りと苦悩をぶつける。父親はそれに対して何も言わず、静かに銃で自決。物語はおしまい。

 前作のラストシーンから直結する構成で、2作連続でひとつの物語が展開されてました。独特な雰囲気が全体に漂い、矢島健一演じる幽霊との会話では「カリギュラ」「アグリッピナ」など歴史や哲学的な要素も混ざり、難解さと幻想性を生んでいます。

 また、撮影当時の東京の風景、駅や自動販売機の様子などが、現在との文化的な差異として映像に表れ、殺し屋の不穏な世界観と相まって一種の異世界感を醸し出してました。前半は根岸季衣がメインとなる尾行パートが長く描かれ、緊張感が続きます。

 葬儀場で静かに語らう家族のシーンなど、意味深で象徴的な場面も散りばめられ、何を意味しているのか考察したくなる余韻も残ったり。前作とは異なるトーンと構成ですが、これはこれで独自の世界観を楽しめる作品だと思いました。

☆☆☆

鑑賞日:2024/02/29 WOWOW

監督原田眞人 
脚本原田眞人 
出演木村一八 
根岸季衣 
矢島健一 
長谷川公彦 
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