●こんなお話
父親を殺された少女が2人の男と犯人を追いかける話。
詳細ネタバレあらすじ
1878年、アーカンソー州。14歳の少女マティ・ロスは、父フランク・ロスが殺害された知らせを受ける。父は使用人として雇っていたトム・チェイニーとともに町へ来ていたが、酒に酔ったチェイニーが酒場で揉め事を起こし、それを止めようとした際に銃で撃たれて命を落としていた。
チェイニーは父の銃と馬を奪い、そのまま逃亡していた。マティは父の死を悲しむだけではなく、犯人を自分の手で捕らえて法の裁きを受けさせることを決意する。
まだ14歳の少女ながら、マティは大人相手にも一歩も引かない態度で行動する。フォートスミスへ向かい、父の遺体を引き取り、葬儀の手配や財産整理まで自分自身で進めていく。
父を殺したチェイニーを追うため、マティは腕の立つ連邦保安官を探す。そして名前が挙がったのが、ルーベン・“ルースター”・コグバーンだった。
コグバーンは片目を失った年老いた保安官で、酒を好み、荒っぽい性格の持ち主だった。しかし、犯罪者を追跡する能力や危険な場面で相手を撃ち抜く度胸を持ち、周囲から恐れられる存在でもあった。
マティはコグバーンに父の仇討ちを依頼し、チェイニーを捕まえるための報酬を提示する。しかし、コグバーンは最初、少女の依頼を真剣には受け止めない。危険な旅になることを理由に、マティを同行させることも拒否する。
それでもマティは諦めず、父から受け継いだ財産を使って報酬を用意し、強い意志でコグバーンを説得する。
その頃、テキサス・レンジャーのラ・ビーフもチェイニーを追ってフォートスミスへやって来る。チェイニーはテキサスで州議員殺害の容疑もかけられており、ラ・ビーフにとっても捕らえるべき相手だった。
ラ・ビーフはコグバーンと協力してチェイニーを追おうとする。しかしマティは、チェイニーをテキサスへ連れて行かれることを望まなかった。父を殺した罪でアーカンソーの法廷に立たせることにこだわり、二人の協力関係に反対する。
最終的にコグバーンは依頼を引き受けるが、マティを連れて行くつもりはなかった。翌朝、コグバーンはラ・ビーフとともに先に出発する。
しかしマティは二人を追い、馬に乗って荒野を進む。川を渡りながら追いついたマティの行動力に、コグバーンも驚かされる。ラ・ビーフは少女を危険な旅に同行させることに反対し、コグバーンのやり方にも不満を持つ。三人はそれぞれ異なる目的を抱えながら、チェイニーを追う旅を続けることに。
やがて一行は、チェイニーが“ラッキー”・ネッド・ペッパー率いる強盗団と行動していることを知る。コグバーンとマティは雪に覆われた荒野を進み、手掛かりを探していく。
途中で二人は山中の小屋を発見する。そこにはネッド・ペッパー一味と関係する男たちがいた。コグバーンは情報を得ようとするが、状況は銃撃戦へ発展する。
コグバーンは相手を次々と撃ち倒し、マティを連れてさらに追跡を続ける。しかし、ラ・ビーフとは意見が合わず、一度別行動を取ることになる。
旅の中で、マティとコグバーンの関係も少しずつ変化していく。最初は酒好きで乱暴な老人にしか見えなかったコグバーンだったが、マティは彼の持つ保安官としての実力を知っていく。一方のコグバーンも、強い意志を持って父の仇を追い続けるマティの覚悟を認めるようになる。
ある日、マティは川辺で馬に水を飲ませている男を発見する。その男こそ、父を殺して逃亡していたトム・チェイニーだった。
マティはチェイニーに銃を向け、自分が父親の娘であることを告げる。チェイニーは最初、少女を相手にしようとしなかったが、マティが本気で追跡してきたことを知ると態度を変える。
マティは銃を撃つが、弾はチェイニーの腕をかすめ二発目は不発。チェイニーはマティを捕らえ、ネッド・ペッパー一味のもとへ連れて行く。
ネッド・ペッパーはコグバーンと因縁を持つ男だった。彼はマティを人質に取り、コグバーンへ追跡をやめるよう要求する。しかしコグバーンは諦めることなく、ネッド一味との対決へ向かう。
その後、ラ・ビーフがマティを救出し、チェイニーと対峙する。コグバーンは一人でネッド・ペッパーたちの前へ現れ、馬に乗ったまま銃撃戦を開始する。
複数の敵を相手にしながら、コグバーンは圧倒的な射撃能力を見せる。ネッド・ペッパーにも銃弾を浴びせるが、自身も負傷して倒れ込む。
ネッドがコグバーンにとどめを刺そうとした瞬間、ラ・ビーフが遠距離から狙撃し、ネッドを撃ち倒す。その直後、チェイニーはラ・ビーフを襲撃して倒す。マティは落ちていた銃を手に取り、ついに父を殺した男と向き合う。
マティはチェイニーを撃ち、父の復讐を果たす。しかし、その衝撃で足場を失い、深い穴へ落下する。穴の中にはガラガラヘビが潜んでおり、マティは腕を噛まれてしまう。
コグバーンはマティを助けるため穴へ降りる。負傷した彼女を抱え、ラ・ビーフの協力を得ながら脱出する。毒に侵されたマティを救うため、コグバーンは急いで町へ向かう。二人を乗せた馬リトル・ブラックは長距離を走り続けるが、限界を迎えて倒れてしまう。
コグバーンは馬を休ませることもできず、最後には自ら馬を撃ち、マティを抱えて歩き続ける。荒野の中を進み続けたコグバーンは、ついにマティを医者のもとへ送り届ける。マティの命は救われるが、彼女が目を覚ました時、コグバーンの姿はすでになかった。
それから25年後。大人になったマティは、父の仇討ちの旅とコグバーンとの時間を振り返る。彼女の腕はヘビの毒による影響で失われていたが、マティはコグバーンからの知らせを受け、再会するために向かう。しかし、彼はすでに亡くなっていた。
マティはコグバーンの遺体を引き取り、自分の家族の墓地へ埋葬する。かつて荒々しい保安官だった男との旅を思い返しておしまい。
●感想
何と言っても印象的なのは、映画が始まった瞬間から広がる圧倒的な映像美です。雪に覆われた荒野や広大な風景がスクリーンいっぱいに映し出され、その美しさを見るだけでも作品への期待が高まりました。
本作は、父親の仇を追う少女と老ガンマンによるロードムービーですが、特にクライマックスでコグバーンがマティを救うために行動する場面が素晴らしかったです。
それまで酒に酔い、愚痴をこぼし、周囲からも扱いづらい人物として描かれていたコグバーンが、マティの命を救うために全力を尽くす姿は非常に印象的でした。ダメな老人に見えていた男が、最後には誰よりも頼れる存在になる。その変化が大きな魅力になっています。
一方で、物語の流れだけを見ると、チェイニーを追う旅の途中は少し単調に感じる部分もありました。コグバーンの酔っぱらった態度や、ラ・ビーフとの言い争いが続き、敵のいる場所を探しているのに、いざ到着すると敵がいない。そして偶然のように川辺でチェイニーを発見する展開には、少し急に感じるところもありました。
しかし、銃撃戦の描写は素晴らしかったです。西部劇らしい派手さだけではなく、銃が簡単には当たらないことや、不発が起きることなど、銃撃の現実感が丁寧に描かれていました。
遠くから映し出される荒野の中で、銃口から煙が出た後に銃声が響く演出も印象的でした。映像と音の使い方が非常に美しく、西部劇ならではの緊張感を楽しめました。
音楽も作品の魅力を高めています。広大な自然の映像と力強い旋律が組み合わさり、旅の雰囲気をさらに盛り上げていました。
また、マティという主人公の存在も素晴らしかったです。ジェフ・ブリッジス演じるコグバーン、マット・デイモン演じるラ・ビーフという経験豊富な大人たちを相手に、14歳の少女が一歩も引かずに意見をぶつける姿が面白かったです。
序盤から大人たちと対等に交渉し、自分の目的を貫こうとするマティの姿は、物語を進める大きな力になっています。
そして、老ガンマンと少女という組み合わせも魅力的でした。最初のコグバーンは本当に大丈夫なのかと思うほど酒好きで荒っぽい人物ですが、いざという場面では圧倒的な強さを見せる。そのギャップが最高でした。
オーソドックスな西部劇でありながら、コーエン兄弟らしい独特の会話や演出、人物描写が加わり、最後まで楽しめる100分間でした。西部劇の魅力と、人間同士の絆をしっかり味わえる作品だと感じました。
☆☆☆☆
鑑賞日:2013/02/07 Blu-ray 2026/07/30 U-NEXT
| 監督 | ジョエル・コーエン |
|---|---|
| イーサン・コーエン | |
| 脚本 | ジョエル・コーエン |
| イーサン・コーエン | |
| 原作 | チャールズ・ポーティス |
| 出演 | ジェフ・ブリッジス |
|---|---|
| マット・デイモン | |
| ジョシュ・ブローリン | |
| バリー・ペッパー | |
| ヘイリー・スタインフェルド | |
| ブルース・グリーン |


