●こんなお話
婚約者を殺された男が、猟奇連続殺人鬼と戦う話。
●感想
雪が降りしきる夜道で車がパンクし、立ち往生していた女性チュ・ヨンに一台のバンが近づく。運転していたチャン・ギョンチョルは修理を手伝うと声をかけ、ヨンを自宅へ連れ込む。室内で彼はヨンを殴打し、刃物で惨殺する。遺体は切断され、川へ遺棄される。ヨンは国家情報院要員キム・スヒョンの婚約者であり、父は警察幹部だった。川から遺体の一部が発見され、事件は連続殺人の可能性を含む凶悪事件として扱われる。
婚約者を殺されたスヒョンは、捜査に協力する立場でありながら、独自に復讐を開始する。義父の協力で最近釈放された性犯罪前科者の資料を入手し、容疑者を一人ずつ尾行し制圧していく。暴力を加え、犯人でないと判断すると次へ向かう。やがてスクールバス運転手として働くギョンチョルに辿り着く。彼の自宅から証拠を見つけ、犯人と断定する。
スヒョンは人気のない場所でギョンチョルを襲撃し、徹底的に殴打する。骨を折り、血まみれにしながらも殺さず、小型の位置追跡装置を飲み込ませて解放する。目的は即座の処刑ではなく、恐怖と絶望を長く味わわせることにあった。
解放されたギョンチョルは病院で治療を受けるが、退院後も病院の女性を襲う。その直前にスヒョンが現れ、再び制裁を加える。アキレス腱を切りつけられ、激しい暴行を受けながらも命は奪われないギョンチョルは自分を追跡する存在に恐怖を抱き始める。
ある日、ギョンチョルはタクシーに乗り込むが、運転手と同乗者も殺人鬼であり、車内で凄惨な殺し合いが発生する。
スヒョンは任務を放棄し、上司の呼び出しにも応じず、復讐に没頭する。ギョンチョルは逆襲としてヨンの実家へ向かい、義父と義妹を襲撃する。スヒョンが駆けつけた時には義妹は殺害され、義父も致命傷を負っている。自らの執拗な私刑がさらなる犠牲を生んだ現実が突きつけられる。
最終的にスヒョンは自首しようとするギョンチョルを拉致し、廃屋へ監禁する。首にギロチン装置を固定し、扉と連動させる罠を設置する。そしてギョンチョルの両親と息子を呼び寄せる。家族が扉を開けた瞬間、刃が落ち、ギョンチョルの首は切断される。絶叫が響く中、スヒョンはその場を後にする。
外へ出たスヒョンは歩きながら声を押し殺して泣き崩れておしまい。
オープニングの殺害場面は強烈で、一気に作品世界へ引き込まれました。妊娠を訴えて命乞いをする女性に対し、一切ためらいを見せずに手を下すチェ・ミンシクの存在感は凄まじく、冷酷さが画面越しに伝わってきます。
イ・ビョンホン演じる国家情報院要員は、捜査資料から容疑者を割り出し、自ら制裁を加えていきます。その過程は非常に大胆で、警察組織の動きがほとんど描かれない構成もあり、物語は二人の対決に集中していきます。まるで世界にこの二人しか存在しないかのような濃密な攻防が続きます。
GPSを飲まされ、何度も瀕死の暴行を受けながらも再び立ち上がるギョンチョルの生命力には現実離れした側面も感じました。手首や脚に深刻なダメージを負っても動き続ける描写には驚きます。ただ、その異様な耐久力が怪物性を際立たせているとも受け取れます。
イ・ビョンホンが感情を露わにする場面は限られていますが、婚約者の死を知る場面と終盤の涙は強い印象を残します。無表情で制裁を繰り返す姿との対比が鮮烈でした。
チェ・ミンシクの狂気に満ちた演技も圧巻で、自らに追跡装置があると知った後の行動は予想を超える展開を生み出します。そこから終盤にかけての約40分は緊張感が途切れず、復讐の応酬が加速します。さらにその上を行く方法を選ぶ主人公の決断も衝撃的でした。
残虐描写は容赦なく続きますが、140分にわたり復讐の連鎖を徹底的に描き切る構成力と、二大俳優のぶつかり合いは圧倒的です。韓国ノワールの到達点の一つと感じる作品でした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2011/08/06 Blu-ray 2026/03/08 U-NEXT
| 監督 | キム・ジウン |
|---|---|
| 脚本 | パク・フンジョン |
| 出演 | イ・ビョンホン |
|---|---|
| チェ・ミンシク |


