●こんなお話
人類の歴史的偉業の裏でトランスフォーマーたちの戦いの話。
●感想
シリーズならではの、実写の車や人間が爆発に巻き込まれて吹き飛ぶ中を、CGで描かれたロボットたちがガチャガチャと変身しながらスローモーションで攻撃を繰り出すという演出は今回も健在でした。迫力と混沌が入り混じった映像の洪水は、これぞこのシリーズ!という高揚感があって、冒頭からテンションが上がります。ただし、登場人物たちのセリフはやたらと大声で叫び合うばかりで、日常のやり取りでさえも叫び倒しているように感じられ、何を話しているのかよくわからないままノリとテンションだけで進行していくのも相変わらず。ある意味で、それもこのシリーズの魅力なのかもしれないです。
ストーリーの冒頭では、地球を2度も救ったはずの主人公が無職で、就職活動に苦戦しているという設定から始まります。そんな地に足の着いた導入に対して、物語はすぐさまスケールの大きなSF展開へと突入。実際の米ソの宇宙開発競争やチェルノブイリの事故など、現実の歴史的出来事とエイリアンの陰謀が結びついていく構成は、「今回はちょっと違うかも?」と思わせる面白さがありましたが、やがておなじみの情報過多と叫びの連続に脳が追いつかなくなり、いつのまにか話を追うより映像を眺める映画になっていきました。
就職活動を通して主人公が関わることになる政府の陰謀や、ケン・チョン演じる謎の男の異常なハイテンションの演技など、盛りだくさんなネタの嵐は確かに面白いです。しかし、それぞれのシーンがテンション全振りすぎて、見ている側としてはだんだん疲れてきてしまいました。敵エイリアンが宇宙から仲間を呼び寄せ、地球を支配しようとするクライマックスの流れも、基本的にはこれまでと同じ。とはいえ、サバイバルのために悪のエイリアンと手を組もうとする人間が出てきたり、裏切りが絡んで展開にちょっとした変化が加えられているのは興味深かったです。
今回も、街中で建物が破壊され、車が吹き飛び、人間が逃げ惑う映像が次から次へと連続し、まさに“これぞシリーズの真骨頂”といえるビジュアルでした。ただ、その映像の中で、どのキャラクターがどう活躍しているのかがわかりづらく、特にバンブルビーをはじめとした味方のエイリアンたちの存在感が薄かったのが少し残念。敵の船に潜入して破壊活動をしていた小型エイリアンたちも名前や背景がよくわからず、せっかくの活躍が記憶に残りづらいのはもったいなかったです。
160分という長尺の中で、テンションと映像情報量がとにかく高密度に詰め込まれていて、途中から意識がぼんやりとしてくるような、ある意味“脳がバグる”映画体験。細かいことは気にせず、とにかくド派手な映像とテンションを浴びたいときにぴったりな作品で、シリーズファンにとってはある種の安定したカオスを楽しめる一作だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2011/07/31 Blu-ray 2021/04/30 NETFLIX
監督 | マイケル・ベイ |
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脚本 | アーレン・クルーガー |
製作総指揮 | マイケル・ベイ |
スティーヴン・スピルバーグ |
出演 | シャイア・ラブーフ |
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ロージー・ハンティントン=ホワイトリ | |
タイリース・ギブソン | |
ジョシュ・デュアメル | |
ジョン・マルコヴィッチ | |
パトリック・デンプシー | |
フランシス・マクドーマンド | |
ジョン・タトゥーロ |