映画【ホワイト・バレット】感想(ネタバレ):ジョニー・トー監督が描く病院密室劇!異色の銃撃戦が炸裂する

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●こんなお話

 病院に凶悪犯罪者が撃たれてやってきて、医師と警官と犯罪者と患者さんたちの思惑が入り乱れて、最終的にバトルロイヤルになっていく話。

●感想

 90分間、全編が病院という限られた空間で進行していくグランドホテル形式の物語。登場人物は、頭を撃たれたインテリ系の犯罪者、警官を撃ったと嘘をついている刑事、医療ミスに苦悩する医者。この三者による静かな駆け引きがずっと続く展開で、まさに密室劇といった構成となっています。

 最初は「これ、ジョニー・トー作品だけど銃撃戦はない感じかな?」と思いながら観ていましたが、クライマックスで突然やってくるスローと長回し風のスタイリッシュな銃撃戦に完全にぶっ飛ばされました。CGも使ってるとは思いますが、基本的には手作り感のあるアナログな感触が強くて、空間の使い方や人物の動き、カメラの流れに情報が詰まっている感じがすごかったです。1回観ただけでは全貌がつかめないような、新鮮で見応えのある銃撃シーンで、それだけでもこの映画を観る価値はあると感じました。

 ただし、香港映画らしい妙なバランスも健在で、患者たちのドラマも同時進行で描かれていきます。中でも、主人公が手術したことで身体が不自由になっていた患者が、銃撃戦の混乱の中で階段から落ちて、なぜか突然「歩けたー!」と感動的(?)なシーンになるあたり、これはギャグなのか感動なのか判断に迷う演出でした。観客にツッコミどころを提供してくる感じは香港映画っぽさ全開だと思います。

 病院の設定自体もややリアリティに欠けていて、ICUみたいなところなのに受付も仕切りもなかったり、誰でもいきなり入ってきて患者に話しかけられるの?という驚きがある香港の病院でした。ある意味で香港の病院事情を知れるという副次的な情報も得られました。

 三者三様の思惑が交差して、誰が味方で誰が敵かわからなくなる心理戦としては面白いですが、犯罪者が刑事を出し抜くハラハラ感はそこまで強くないので、そこを期待して観ると肩透かしかもしれないです。

 とはいえ、緊張感ある演出と、ラストの銃撃戦の破壊力だけでも十分に満足できる、90分の濃密な作品でした。

☆☆☆☆

鑑賞日: 2017/04/25 DVD

監督ジョニー・トー 
脚本ヤウ・ナイホイ 
ラウ・ホーリョン 
マク・ティンシュー 
出演ルイス・クー 
ヴィッキー・チャオ 
ウォレス・チョン 
ラム・シュー 

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