●こんなお話
離婚して子供達と新しい場所へ引っ越したら、その家の庭が大変なことになる話。
●感想
離婚した小説家ジョン・ジェームズは、思春期の娘ルイーサと幼い息子サムを連れ、サウスカロライナの田舎にある古い一軒家へ引っ越してくる。家の裏手には人工的に盛り上がった巨大な土の塚があり、近隣住民からは古くから忌避されてきた埋葬地だと伝えられていた。
引っ越し後まもなく、夜になると森の奥や屋根の上から正体不明の物音が聞こえるようになり、ルイーサは頻繁に家の外へ出て塚の周辺を歩き回るようになる。彼女は泥だらけの姿で帰宅することが増え、やがて飼い猫が無惨な状態で発見される。ジョンは娘の行動に明らかな変化が起きていることを認識する。
ルイーサは夜中に無意識のまま家を抜け出し、浴室で泥にまみれた状態で見つかることもあり、藁や枝を組み合わせた奇妙な人形を隠し持っていた。ジョンは家の過去を調べ、以前この家に住んでいたサラ・ウェインという女性が失踪し、その娘エミリーが祖父に引き取られていた事実を突き止める。
ジョンはエミリーが家事でなくなったことを知るが、祖父を訪ね、エミリーに何があったのかを聞く。帰宅後、ベビーシッターとして雇っていたアムワース夫人が何者かに襲われ行方不明となり、サムは恐怖から部屋に閉じこもるようになる。
ルイーサの人格はさらに変化し、言葉遣いや態度も人間らしさを失っていく。ジョンは調査を進め、塚には古代から「マウンド・ウォーカー」と呼ばれる存在が棲みつき、若い娘を連れ去って交配し、新たな個体を生み出すという伝承があることを知る。
研究者と共に塚を訪れた際、地下からアムワース夫人の遺体が発見される。その後、警察の事情聴取を終えて帰宅する途中、ジョンと警官は異形の存在に襲われ、警官は殺害される。家に戻ると、サムの担任教師もすでに殺されており、ジョンは銃で応戦しながら複数の異形を倒すが、ルイーサは姿を消してしまう。
塚の内部から娘の声を聞いたジョンは、サムに家で待つよう指示し、単身で塚の洞穴へ向かう。内部で衰弱したルイーサを発見し抱き上げるが、彼女の身体にはすでに人間ではない変化の兆しが現れていた。
ジョンは洞穴内部に燃料を撒き、火を放って塚を爆破する。サムがみんなの帰宅を待っていると、炎に包まれる塚の中で何かが動く影が映っておしまい。
冒頭のアリの巣のアップにクレジットが重なる演出は非常に印象的で、これから始まる物語の性質を象徴しているように感じました。ケヴィン・コスナー演じる父親が、作家としても父親としても行き詰まっている状況から物語が進む点は、とても分かりやすい導入だったと思います。
思春期の娘との距離感と、家の周囲に漂う不穏な空気という二つの要素が同時に進行する構成は独特で、序盤から奇妙な違和感が積み重なっていく点は興味深かったです。ただし、親子関係の変化が物語の中で十分に深まることはなく、娘が異変に飲み込まれていく展開が淡々と続く印象も受けました。
藁人形や夜の徘徊、泥だらけで帰宅する描写など、ホラー映画でよく見かける表現が多く、展開自体に新鮮さを感じにくい部分もありました。また、教師や研究者など意味ありげに登場する人物が、その後物語に深く関わらない点は惜しく感じました。
クライマックスの異形との戦いは盛り上がりを見せるものの、暗闇の演出が強く、状況が把握しづらい場面も多かったです。クリーチャーの造形も好みが分かれそうですが、全体としては雰囲気重視のホラーとしてまとめられていた印象でした。
それでも、娘を救おうとする父親の姿や、銃を手に立ち向かうケヴィン・コスナーの存在感は強く、スター映画として楽しめる一本ではありました。もう一歩踏み込んだ設定説明や家族関係の掘り下げがあれば、より印象に残る作品になったのではないかと感じます。
☆☆
鑑賞日:2011/05/05 DVD 2022/02/03 DVD 2026/01/30 DVD
| 監督 | ルイス・ベルデホ |
|---|---|
| 脚本 | ジョン・トラヴィス |
| 出演 | ケビン・コスナー |
|---|---|
| イバナ・バケロ | |
| ガトリン・グリフィス | |
| ノア・テイラー | |
| サマンサ・マシス |


