●こんなお話
神父さんがヴァンパイアになっちゃって人妻といけない関係になりつつどんどん周りで人死が出ていく話。
●感想
人の役に立ちたいという気持ちから、神父である主人公は人体実験に参加。結果的に唯一の生存者となり、信者たちからは「奇跡の人」として崇められる。祈りを捧げた幼馴染が難病から回復したことで、さらに周囲の信頼が厚くなっていく。
やがてその幼馴染の家族から麻雀大会に招かれ、そこで出会った幼馴染の妻に惹かれていく主人公。妻は家庭内で姑や夫からひどい扱いを受けており、それを知った主人公は彼女を救いたいと願うようになる。
主人公は実は人の血を吸わないと発疹が出てしまう体質になっており、寝たきりの患者から血を吸って生き延びている。妻も家族に耐えきれず夜中に家を飛び出すこともあるが、結局戻ってしまい虐げられ続けている。
2人はやがて結ばれ、夫を湖で殺す計画を立てて実行。夫を失った姑は寝たきりになってしまう。そして主人公はついに妻を噛み、彼女をヴァンパイアに変えてしまう。
しかし妻は暴走を始め、人々を無差別に襲って血を吸い出す。その行動に主人公は苦悩するが、止めることもできない。姑が麻雀大会で「息子を殺したのは神父だ」と訴えたことをきっかけに、口封じのため大会の参加者を殺害する事態に。
そして2人は断崖に向かい、夜明けを迎える。日が昇る中、全てを諦めた2人はその場で炭となって消えていく。
神に仕える者として人を救いたいと思った主人公が、実験によってヴァンパイアとなり、次第に倫理から外れていく流れが面白かったです。血を飲まなければならない罪を告白した先輩神父も急に暴走し、「お前の血をくれ!」と迫ってくる展開には笑ってしまいましたし、それを殺してしまうのも妙にテンポがよかったです。
DV被害を受けていると相談された人妻と共謀して夫を殺すという展開も、ショッキングでありながらブラックコメディ調に描かれていて妙に笑えました。ヴァンパイア化した人妻は暴走し、主人公はますます悩み続けるばかり。
夫殺害が周囲にバレ始めたことでさらに事件が発展していき、コミカルに描かれた窮地の描写がまた楽しく。ラストで主人公が「最後の決断」に至るまでの嫌がる姿がやたらと長く描かれるくだりも、ブラックユーモアが効いていて印象的でした。
キリスト教徒が多い韓国という社会背景を完全には理解できない部分もあると思いますが、かなりよくできた映画だと思いました。
☆☆☆
鑑賞日: 2016/10/27 NETFLIX 2023/03/21 WOWOW
監督 | パク・チャヌク |
---|---|
脚本 | パク・チャヌク |
チョン・ソギュン | |
原作 | エミール・ゾラ |
出演 | ソン・ガンホ |
---|---|
キム・オクビン | |
シン・ハギュン | |
キム・ヘスク | |
オ・ダルス | |
ソン・ヨンチャン |
コメント