映画【ゲッタウェイ】感想(ネタバレ):静かな緊張感が光る銀行強盗アクション、台詞少なめの深みある120分

The Getaway
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●こんなお話

 銀行強盗夫婦が警察とか依頼者とかに追われる話。

●感想

 刑務所の中で黙々と労働に励む主人公の姿が、ほとんど台詞もなく淡々と映し出されるところから物語は静かに幕開けする。やがて面会に訪れた奥さんが、ひそかに実力者へと何かを依頼する様子が描かれる。奥さんがその依頼者の元へ向かった直後、主人公は突然釈放される。迎えに来た奥さんと再会し、久しぶりの自由を味わう二人の様子には、短いながらも穏やかな喜びが感じられる。

 釈放の後、主人公はすぐに実力者に会いに行き、次なる計画を持ちかけられる。それは地方銀行を狙った強盗の話であり、その実行のために用意された仲間たちとの顔合わせも行われる。彼らは狙いを定める銀行の下見を行い、武器を手に入れて細かく計画を練る。地図を広げて慎重に役割を確認し、決行の時を迎える。

 だが計画は順調に進むわけではなかった。思わぬところで仲間の一人が警備員を射殺し、現場は混乱に包まれる。主人公が合流した仲間もすぐに銃撃戦に巻き込まれ、命を落とす。ところがその仲間は防弾チョッキを身に着けていたためか、瀕死の状態から奇跡的に蘇る。そして偶然見つけた獣医の夫婦を脅迫し治療を強要するなど、物語は一層緊迫感を帯びていく。その過程で奥さんがその仲間の支配下に置かれてしまう事態にもなる。

 主人公は実力者の元へ戻るが、そこで奥さんと実力者が何やら通じ合っていることを知り、激しく動揺する。実力者は主人公を抹殺しようと企てるが、思いがけず奥さんが実力者を射殺してしまう。この複雑な人間関係の中で、主人公は怒りと困惑の入り混じった感情を抱きながらも、結局は奥さんと共に逃亡を決意する。

 電車での逃避行を試みるが、途中でコソ泥に大金を奪われ、追いかけて取り戻す一幕もある。その後、コソ泥が警察に通報したことで主人公の顔がメディアに晒され、指名手配となってしまう。追われる立場となった主人公は銃砲店でショットガンを奪い、パトカーとの激しいカーチェイスを繰り広げる。ゴミ収集車の中に身を潜めるなど、危機を何度も乗り越えていく。

 やがて実力者の追手や仲間たちが主人公の滞在するホテルへ押し寄せるが、壮絶な銃撃戦で次々に敵を倒していく。追い詰められた状況で、偶然出会った警察を嫌う老人に助けられ、メキシコの国境まで逃げ延びることに成功する。3万ドルを渡し、車での逃亡を続ける二人の姿が映され、物語は静かに終わりを迎える。

 全体としては、典型的な銀行強盗ものの要素を丁寧に押さえつつ、台詞を極力抑えた静かな演出が非常に印象的な作品だ。120分という上映時間の中で、無言の行動や表情で主人公の心情がじわりと伝わってくるため、観ていて飽きることがない。単純に銀行強盗を仕掛け、追いかけられ、幾多の障害を突破していくという流れは見応えがあり、銃撃戦やカーチェイスの迫力も存分に楽しめた。アクションシーンとサスペンスの緊張感がバランスよく配置されているため、最後まで手に汗握る展開が続くのも大変魅力的でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2023/03/20 WOWOW

監督サム・ペキンパー 
脚色ウォルター・ヒル 
原作ジム・トンプソン 
出演スティーヴ・マックイーン 
アリ・マッグロー 
ベン・ジョンソン 
サリー・ストラザーズ 
アル・レッティエリ 
スリム・ピケンズ 
ボー・ホプキンス 
ロイ・ジェンソン 
ジョン・ブライソン 
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