映画【テルマ&ルイーズ】感想(ネタバレ):自由を求めて走る女たちの物語が描く新しいヒロイン像

Thelma-&-Louise
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●こんなお話

 旅をして男性からの抑圧から解放されていく話。

●感想

 ウエイトレスとして働いていたテルマは、どこか物足りなさを感じながら日々を過ごしていた。専業主婦であるルイーズは、夫からの理不尽な言動に耐え続けており、心に溜まったものを抱えながら生活している。そんな2人が、ある日ふとした思いつきで小旅行へ出かけることに。テルマが夫に嘘をつき、ルイーズとともに開放的なドライブへと繰り出す。息苦しい日常から少しだけ離れるつもりだった。

 道中、バーに立ち寄った2人は、ある男性と出会う。最初は楽しい雰囲気だったものの、状況が一変。ルイーズがレイプされそうになり、テルマがその男を射殺してしまう。ここから彼女たちの旅は、自由を求める逃走劇へと姿を変えていく。

 事件をきっかけに、2人はメキシコを目指すことにする。途中、ルイーズの知人に電話をかけて送金を頼むなど、計画を立てながら進んでいく。移動の途中で、大学生を名乗る若い男性と出会い、一緒に車に乗せることに。ルイーズが親しくなり、テルマも心を許しかけるが、彼が全財産を盗んで姿を消してしまう。途方に暮れる2人だったが、追い込まれたルイーズは大胆にも強盗を決行する。

 その一方で、彼女たちの人間性に触れ、被害者として共感を抱いた刑事が、彼女たちを傷つけずに保護しようと動き始める。電話越しに説得を試みたり、捜査チームの中で彼女たちの味方になるよう努めるなど、人間ドラマが交錯していく。

 旅の途中で警官に呼び止められた時には、ルイーズが咄嗟に拳銃を突きつけて切り抜ける。さらに、彼女たちに絡んできたトラッカーの男には逆襲し、トラックを爆破してしまうなど、怒りを行動に変えていく姿が続いていく。そしてついに、数々の出来事を経た先で、彼女たちは断崖絶壁に追い詰められる。その場所で2人が選んだのは、車のまま大空に向かって跳ねるという、まさに運命に抗うような決断。

 犯罪というレッテルを貼られながらも、彼女たちが一歩一歩進んでいくその姿は、観ていてどこか清々しさを感じさせるものでした。誰かに敷かれたレールではなく、自分の足で歩き始めた女性たちの姿がまぶしく、応援したくなる空気が作品全体を包んでいたように思います。ルイーズがどんどんと逞しくなっていく変化には驚かされましたし、銃や車を操る姿には思わず胸が熱くなりました。人生を取り戻していく2人の姿には、自由と解放の象徴のような輝きがありました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2010/01/28 DVD 2023/03/18 WOWOW

監督リドリー・スコット 
脚本カーリー・クーリ 
出演スーザン・サランドン 
ジーナ・デイヴィス 
ハーヴェイ・カイテル 
マイケル・マドセン 
クリストファー・マクドナルド 
スティーブン・トボロウスキー 
ブラッド・ピット 
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