●こんなお話
伝説の古城を巡ってトレジャーハンターたちがワーワー大騒ぎする話。
●感想
中国映画らしい壮大なスケールで描かれる冒険ファンタジー作品。物語は遺跡に眠る秘宝をめぐる探索を主軸に据えていますが、いわゆる冒険活劇的な盛り上がりというよりは、幻想的なビジュアルと設定が先行する構成となっていて、観る側としてはやや戸惑うスタートになっていました。
主人公はベテランの冒険家として登場し、西部劇を思わせる衣装を身にまといながら、荒野を縦横無尽に駆け回ります。一方のヒロインは人気作家として、どこか地に足のついた現代的な生活を送っており、この2人が交互に描かれていく冒頭は、まるで異なる世界をそれぞれに描写しているような印象を受けました。それだけに、両者が自然に合流して物語が進行していく流れには少し驚かされました。あえて説明を抑えて幻想の世界へ観客を導く狙いがあったのかもしれませんが、世界観がつかめず、気持ちが置いていかれる感覚も残りました。
ヒロインが敵側に捕らわれたことで事態が動き出しますが、それもあっさりと救出され、そのまま旅が始まっていく流れはやや唐突にも映りました。冒険家側にはチェン・ダオミンさんやエリック・ツァンさんといった実力派が顔をそろえ、それぞれの背景が描かれていくのですが、とくにエリック・ツァンさんに関してはラストに過去が明かされ、そこに焦点が移っていく展開となっていて、主人公の視点から少し逸れていく印象も受けました。
アクションはワイヤーを駆使した中国映画ならではの表現が多く登場し、幻想的な空間の中で戦いが繰り広げられていきます。洞窟でのクライマックスでは、亡霊のような存在と対峙することになりますが、どうやって彼らを倒すのか、そのルールのようなものが明かされないまま終盤へと突入していくため、やや感情移入がしづらく感じられる部分もありました。
中盤に登場する包帯を巻いた謎の人物や、目的や動機の説明が曖昧なキャラクターたちも多く、全体を通して誰がどこに向かって動いているのかが把握しにくいまま観終える形となってしまった印象です。それでも、遺跡のスケール感や、幻想的な演出の数々には魅力があり、ジャンルとしての雰囲気を味わいたい方には楽しめる一本かもしれません。
☆
鑑賞日: 2018/04/22 NETFLIX
監督 | チュー・イェンピン |
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アクション監督 | チン・シウトン |
脚本 | アイヴィー・ホー |
出演 | ジェイ・チョウ |
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リン・チーリン | |
チェン・ダオミン | |
エリック・ツァン |
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