●こんなお話
ラジオ番組に爆破テロ犯から電話があって視聴率のために独占放送し始めて、犯人の要求の大統領の謝罪でどうなるのかと思ってたら自らも命の危険な感じになって追い詰められていく話。
●感想
冒頭からいきなり橋が爆破される衝撃のシーンで始まり、緊張感が一気に高まる。その直後、犯人から主人公に電話がかかってきて、物語は一気に動き出す。主人公はかつては人気絶頂のニュースキャスターだったが、今ではラジオ番組に左遷されている。そんな彼が再び表舞台に戻ろうと、犯人とのやり取りを独占放送し、視聴率アップを狙う。
この出だしだけでもカット割りの細かさや、ずっと鳴り続ける不穏な音楽が緊張感を持続させていて、息をつく間もない展開に引き込まれました。
そこから先も事件は連鎖的に発生し、誰が何のためにやっているのか? どうやってこの状況を乗り越えるのか? という謎とサスペンスが次々と押し寄せてくる。犯人の要求は意外にも「過去にあった事件について、大統領が謝罪しろ」というもの。もちろん政府側は「テロリストとは交渉しない」と取り合わないけど、爆破は止まらない。
さらに主人公自身のイヤホンに爆弾が仕掛けられているという衝撃の展開もあり、特に女性ニュースキャスターに関するシーンはショックが強くて、一瞬本気で焦りました。
視聴率を取るためなら何でもやるテレビ局長、威圧感だけ強いけど空回りするテロ対策の捜査官、そして一番やっちゃいけない行動を選んでトラブルを悪化させる警察庁長官など、登場人物たちがなかなかのキャラ揃い。特に国家側の登場人物たちは総じてマヌケに描かれていて、貧困層が声を上げるという構図から見ても、どちらかといえば社会派で左寄りな視点の映画だと感じました。
中盤以降は爆破の規模も派手になって、主人公自身もかなり危ない状況に追い込まれる。ただそんな中でも、「今それやる!?」と言いたくなるような過去の不祥事を責められる場面があって、若干ツッコミたくなったり。真相についても個人的には「それだけ?」という物足りなさはあったし、国家権力側の銃撃シーンもあまりに突然で、少し置いてきぼりになった感じは否めないです。
とはいえ、90分ちょっとの上映時間を使ってノンストップでハラハラさせてくれる緊迫のサスペンス映画であることには間違いなく。最初から最後まで息をつかせず、見る者を巻き込む力があると思います。細かいツッコミどころはあっても、テンポの良さと演出の勢いで一気に楽しめた一本でした。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2014/09/06 シネマカリテ 2015/10/09 DVD
監督 | キム・ビョンウ |
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脚本 | キム・ビョンウ |
出演 | ハ・ジョンウ |
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イ・ギョンヨン | |
チョン・ヘジン | |
イ・デビッド | |
キム・ソジン | |
キム・ホンパ | |
出演(声) | チェ・ドンムン |
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