●こんなお話
国に失望したベトナム戦争の英雄率いる海兵隊がアルカトラズ刑務所を乗っ取って神経ガスで街を狙ってるってんで、アルカトラズ刑務所を唯一脱出したことののある元英国諜報員と実戦経験のない化学屋が乗り込んでいく話。
●感想
物語は、元軍人の男が国家に対して強い怒りを抱き、部下とともに化学兵器を強奪するところから始まる。彼は神経ガスを搭載したミサイルを手にし、観光地として知られるアルカトラズ島を占拠。多数の観光客を人質に取り、アメリカ政府に対して大胆な要求を突きつける。
この非常事態に対し、政府は神経ガス処理の専門家である民間人の男を招集する。彼は実戦経験こそないものの、化学兵器の理論と構造に精通していた。そしてもう一人、かつて唯一アルカトラズ刑務所から脱獄した経歴を持つ元イギリス諜報員の男が協力を求められる。長らく収監されていた彼は、自由と引き換えに任務への参加を承諾する。
2人はアメリカ海軍特殊部隊・ネイビーシールズとともに島への潜入を果たすが、侵入ルートには仕掛けられたトラップが待ち受けており、シールズの隊員たちは次々と命を落としていく。辛くも生き延びた2人に、残されたミサイルの制圧という重大な任務が託されることとなる。
やがて明らかになるのは、テロリストのリーダーが、実は命令を無視した極秘作戦で命を落とした部下たちの存在を政府が隠蔽したことに憤り、その名誉回復を求めていたという事実だった。ただの狂信的なテロ行為ではなく、彼なりの正義がそこにはあった。しかし仲間の中には、その真意を理解せず金銭目的で行動していた者もおり、内部での対立が次第に表面化していく。
物語の終盤では、政府による空爆が迫る中で、ミサイルを海に落とすかたちで危機は回避されるが、それによってグループ内部での裏切りが勃発。上官への信頼が崩れ、武装集団内で銃撃戦が始まる。そこへ主人公たちも加わり、激しい戦闘の末に最後のミサイルも破壊。観光客や都市への被害は未然に防がれ、事態は収束する。
終盤、爆撃機がアルカトラズに迫るなか、専門家の男はイギリスの元諜報員を逃がす手助けをする。それは、事件の裏側にあるさまざまな立場や思いが交錯する中での、静かな選択だった。
この作品は、アクション映画としてのスピード感や見どころに満ちていただけでなく、登場人物たちの思いや正義がぶつかり合うドラマ性にも強く惹かれました。特にテロリスト側のリーダーが掲げていた信念には重みがあり、敵味方という枠を超えて胸に迫るものがありました。
また、アルカトラズ潜入シーンのテンポもよく、映像のスケール感も見応えがありました。誰にも知られていない秘密の通路を利用して進んでいく描写には、冒険映画のような高揚感もあり、最後まで目が離せなかったです。
主人公たちが肉体的にも精神的にも追い詰められながら、それでも自分の役割を果たそうとする姿には力強さを感じました。単なるアクションにとどまらず、信念と信頼、そして選択の物語としても味わい深い作品だったと思います。
☆☆☆☆☆
鑑賞日:2011/07/17 Blu-ray 2014/06/04 Hulu 2023/05/12 Disney+
監督 | マイケル・ベイ |
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脚本 | デイヴィッド・ワイスバーグ |
ダグラス・S・クック | |
マーク・ロスナー |
出演 | ニコラス・ケイジ |
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ショーン・コネリー | |
エド・ハリス | |
マイケル・ビーン | |
ウィリアム・フォーサイス | |
デイヴィッド・モース |