映画【喜劇 愛妻物語】感想(ネタバレ):夫婦の喧嘩と旅路を描く小さな物語

Kigeki aisai monogatari
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●こんなお話

 売れない脚本家がシナハンのために香川に家族と行く話。

●感想

 物語は売れない脚本家のナレーションから始まる。彼は妻と距離があり、セックスもできずに悶々と過ごしている。年収は50万円以下、過去にシナリオ賞を獲ったことがあるものの、その後は鳴かず飛ばず。妻からは悪態をつかれ、相手にされない日々だった。

 ある日、香川のうどんを作る女子高生を題材にした映画化に向けてシナリオハンティングをするようプロデューサーから命じられ、主人公は家族を連れて香川へ向かう。鈍行列車での移動や、ホテルでは主人公と子どもだけが先にチェックインして妻が裏口を探して迷うなど、貧乏旅行らしい騒動が続く。

 やがて取材対象の女子高生と会うものの、映画化の話はすでに別会社で決まっており、主人公は自らを売り込むこともできず引き下がってしまう。ただし別の原作ものの映画化の可能性があると知り、わずかな希望を抱く。だが妻と衝突して彼女は友人に会いに行き、主人公は子どもとともに小豆島の海を自転車で見に行く。その後、妻の友人らと合流し、セックスフレンドの話をきっかけに主人公と妻は久々に関係を持つ。

 しかし唯一の希望だった原作映画の話も断られ、主人公は絶望する。再び妻に責められて別れ話にまで発展するが、結局は一緒に電車で帰路につき、最後は妻が主人公のシナリオ清書を手伝って終わる。

 香川のうどんの美味しさや、小豆島の海の美しい風景が描かれ、観光映画としても楽しめる要素がありました。また、主人公と妻を演じた俳優ふたりの芝居に魅力があり、夫婦のぎこちない関係を生々しく見せていたと思います。ただ、全体的には非常に小さな物語で、主人公夫婦の喧嘩が繰り返される構成に大きな起伏が少なく、退屈に感じる時間もありました。もう少し動きのある展開が好みだったので、その点は物足りなさを感じました。

 それでも、常に対立してばかりの両親を見つめる子どもの存在が胸に残り、彼の視点を思うと切ない余韻のある作品だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2022/12/28 NETFLIX

監督足立紳 
脚本足立紳 
原作足立紳
出演濱田岳 
水川あさみ 
新津ちせ 
大久保佳代子 
坂田聡 
宇野祥平 
黒田大輔 
冨手麻妙 
河合優実 
夏帆 
ふせえり 
光石研 
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