映画【ミスト】感想(ネタバレ):閉鎖空間の恐怖!霧に包まれたスーパーマーケットで始まる絶望のサバイバル

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●こんなお話

 街が霧に包まれて、スーパーマーケットに立てこもることになる話。

●感想

 物語冒頭、開始からわずか10分ほどで一気に濃い霧が立ちこめ、視界がほとんど遮断されてしまうという、非常にインパクトのある展開でした。何が起こっているのか分からない不安と混乱の中、観客も登場人物たちと同様に緊張感を抱きながらストーリーに引き込まれていきます。この序盤の“ツカミ”は、サバイバルホラーとして非常に優秀で、作品世界に没入させる力を強く感じました。

 物語が進行するにつれて描かれるのは、まさに「こんな死に方だけはしたくない」と思わせられるような、目を背けたくなるほど衝撃的な死のオンパレードです。登場人物たちが次々と非情な運命に飲み込まれていく様子には、恐怖と同時に、どこかショーを見せられているような感覚すら覚えます。

 舞台はスーパーマーケット。霧の中、外の状況がまったく把握できないまま店内に閉じ込められた人々は、徐々にパニックに陥り、理性を失っていきます。よくある展開ながら、こうした閉鎖空間における群集心理の変化と暴走が、緊張感を絶やさず丁寧に描かれていました。

 特に印象的だったのは、信仰に傾倒し人々を扇動していく中年女性のキャラクター。彼女の止まらない早口とヒステリックな演説は、観ている側を苛立たせながらも、群衆が熱狂的に支持していく流れにリアリティを与え、物語の狂気を象徴する存在となっていました。

 サバイバルホラーらしく、登場人物たちは霧の正体を突き止めようとするも、次から次へと襲いかかる障害に直面していって、そのたびに誰かが凄惨な死を遂げていくため、まさに「はい次、はい次」といったテンポで進む展開に緊張が途切れることはありません。

 そして迎えるラストシーンでは、今まで積み重ねてきた内容を一瞬で忘れてしまうほどの衝撃的な結末が待っています。そのラストのインパクトも相まって、非常に強く印象に残る作品となっていました。

 一方で、「スーパーの窓ガラスは割れないのか?」や「弾薬の残数はどうなっているのか?」といった細かい疑問も散見され、ややご都合主義的な展開や、まるで“死ぬためだけ”に登場したようなキャラクターの存在に、少々残念な印象も受けました。

 とはいえ、全体としては非常にショッキングでエンターテインメント性に富んだ作品であり、ホラーファンにはぜひおすすめしたい一本です。

☆☆☆☆☆

鑑賞日:2008/09/20 DVD

監督フランク・ダラボン 
脚本フランク・ダラボン 
原作スティーヴン・キング 
出演トーマス・ジェイン 
マーシャ・ゲイ・ハーデン 
ローリー・ホールデン 
アンドレ・ブラウアー 
トビー・ジョーンズ 
ウィリアム・サドラー 
ジェフリー・デマン 
フランセス・スターンヘイゲン 
アレクサ・ダヴァロス 
ネイサン・ギャンブル 
クリス・オーウェン 
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