●こんなお話
織田信長と濃姫の話。
●感想
物語は、信長と濃姫の出会いから始まる。家の命運をかけた政略結婚という形で2人は結ばれるが、濃姫は信長に一歩も引けを取らず、むしろ圧倒する存在として描かれている。単純な腕力ではもちろん、鷹狩などの技でも信長を上回る場面があり、序盤から濃姫の強さと芯の強さが印象に残ります。
やがて、今川義元の進軍という危機に対し、桶狭間で本隊を急襲するという大胆な作戦が提示されるが、これも濃姫の発案。戦から勝利して帰る信長を出迎える濃姫。
その後も、斎藤道三の死をきっかけに復讐の是非をめぐる会話や、浅井長政との同盟と裏切り、撤退戦、朝倉・浅井連合に対する対処、比叡山焼き討ちなど、信長を語る上で外せない歴史的なエピソードがしっかりと描かれていきます。
市井を見に出た濃姫と信長がスリに遭い、追いかけて盗賊と戦った末に結ばれるという、民との距離の近さを感じさせるエピソードも。だが子どもに恵まれず、そのことに落ち込んだり、信長の変化についていけず、ついには離縁という決断に至る展開も丁寧に描かれている。病に伏すようになった濃姫を案じ、信長が安土城へ招き再び共に過ごすシーンは静かな感動があったり。
そして本能寺の変。明智光秀の裏切りの流れが軽く触れられ、襲撃のシーンへ。重体の濃姫は最期の力で楽器を奏で、信長と心を通わせる。物語の終わりは幻想的なイメージの中、船に乗って世界へ旅立つ2人が踊るという「タイタニック」を彷彿とさせるエンディングで締めくくられておしまい。
派手な戦闘やCGを抑え、信長と濃姫の人間ドラマに3時間をかけた製作陣の決断は潔かったです。ですが木村拓哉さんの演技はいつもの“キムタク節”が抜けず、舌打ちや小芝居が多くノイズとして感じられる面もあったです。
歴史に詳しい人にとってはやや物足りず、詳しくない人にとっては説明不足に感じられ。アイドル映画として見るには上映時間が長く、3時間近い尺に耐えられるかどうかが人によって分かれる一本だと思いました。
☆☆☆
鑑賞日:2023/05/20 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 大友啓史 |
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脚本 | 古沢良太 |
出演 | 木村拓哉 |
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綾瀬はるか | |
宮沢氷魚 | |
市川染五郎 | |
和田正人 | |
高橋努 | |
浜田学 | |
本田大輔 | |
森田想 | |
見上愛 | |
増田修一朗 | |
斎藤工 | |
北大路欣也 | |
本田博太郎 | |
尾美としのり | |
池内万作 | |
橋本じゅん | |
音尾琢真 | |
伊藤英明 | |
中谷美紀 |