●こんなお話
中国の女王が魔女だってんで、ロシア皇帝や本物の女王が戦う話。
●感想
冒頭では、まるで兵馬俑を思わせる人形が登場し、中国のドラゴンやお茶を巡るナレーションによって世界観が一気に説明されます。ここから本作の世界に引き込もうとする熱意は伝わりますが、初めは少々情報量が多く、説明に必死でくらいつかねばならず、映画の中にスムーズに入り込むのが難しく感じられました。
物語の舞台はイギリスの刑務所に移り、ジャッキー・チェンとアイアンマスクをかぶったロシア人が収監されています。刑務所長はシュワルツェネッガーという豪華な顔ぶれで、その設定だけでも驚きがあります。伝書鳩を介して前作の主人公である地図学者が、ロシアの皇帝から地図作成を依頼されるも、皇帝が偽物であることに気づき、何者かに捕らわれてしまいます。そこへ主人公の奥さんが父親の力を借りて救出を要請し、その際に中国の少年も同行することに。ところがこの少年、実は少女で非常に強く、刺客に襲われても見事な戦いを見せます。
物語はロンドンのジャッキーやロシア人アイアンマスクと共に進行し、やがて彼女がジャッキーの娘であること、アイアンマスクが本物のロシア皇帝であり主人公の友人であることが明らかになっていきます。主人公の奥さんも刑務所にやってきて、脱獄劇が展開されます。
そしてこの映画最大の見どころが、ジャッキーとシュワルツェネッガーの直接対決のアクションシーンです。映画史に残る顔合わせともいえるこのシーンは、非常に長くじっくりと描かれており、観客を大いに盛り上げます。ただし、残念ながら物語の本筋とは一切関係がないという点は不思議な感覚を覚えました。
物語の本筋は、中国の女王が魔女に仮面をかぶって支配しており、主人公の相棒である少女が実は本物の女王という展開へと進みます。レジスタンスの仲間たちやロシア皇帝、主人公の奥さん、さらには海賊たちも加わり、女王に対抗していくのです。主人公が女王に捕らわれたり、みんなが集結していく流れは壮大な冒険劇の様相を呈しています。
敵側の武闘派たちは個性的で、騒音を武器にした者、超人的な怪力の持ち主、電気攻撃を駆使する者など、スチームパンク風のギミックがとても楽しく演出されています。クライマックスでは女王が同じ顔の4人に分身し、一人の女優が四役をこなして戦う場面は見応えがありました。
ジャッキーとシュワルツェネッガーの共演が華やかでありながら、直接対決が物語と無関係という不思議さも含め、顔見世興行的なキャスティングが賛否両論に感じられました。さらに、最後に二人が再び登場し「ドラゴンは山や海や空にいる」と空を見上げるシーンが印象的ではあるものの、その意味合いについては観る者に委ねられているように感じます。
また、細かいところを挙げれば、中国人とロシア人が英語でコミュニケーションをとっている点には驚きを隠せませんでした。しかしながら、全体としては派手で華やかな見せ場が数多く用意されており、ファンタジー映画として純粋に楽しむことができました。
☆☆☆
鑑賞日:2022/01/23 DVD
監督 | オレッグ・ステプチェンコ |
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脚本 | アレクセイ・ペトルキン |
オレッグ・ステプチェンコ | |
ドミトリー・パルツェフ |
出演 | ジェイソン・フレミング |
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アーノルド・シュワルツェネッガー | |
ジャッキー・チェン | |
アナ・チュリナ | |
ルトガー・ハウアー | |
チャールズ・ダンス | |
マーティン・クレバ | |
クリストファー・フェアバンク | |
イゴール・ジジキン |