映画【226】感想(ネタバレ):二・二六事件を描く圧巻の歴史劇!決起将校たちの葛藤と覚悟に迫る

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●こんなお話

 政府要人を襲撃した軍人たちの226事件の話。

●感想

 物語は、青年将校たちが集まって会談し、ついに決起を決意するところから始まる。彼らは下士官たちを連れて、政府要人を次々に襲撃。日本の近代史に刻まれた二・二六事件の幕が上がる。冒頭から約30分間、事件の暗殺シークエンスが続き、緊張感に包まれた衝撃的な導入。

 その後は、陸軍内部で対応をめぐって分裂する上層部の姿が描かれる。穏便に収めたい派と、決起部隊を武力で鎮圧すべしという強硬派が対立。上層部の人間が決起将校たちに投降を促すため説得を試みる場面もあるが、将校たちは信念を曲げない。

 決起将校たちは、行動の成否が見えないまま、戦車や重装備に囲まれながら「待ち」の時間を過ごす。その中で、彼らの心に去来するのは家族との思い出。唐突に挿入される家族との回想シーンでは、それぞれの私的な時間や、決起に至る前の葛藤、決意の背景などが描かれる。

 やがて彼らは、下士官たちの命を守るために兵を帰隊させる決断をする者も現れ、戦いを断念していく。そして、将校たちはそれぞれの運命を受け入れ、自決あるいは処刑を覚悟し、愛する妻へ手紙を書き残す。こうして事件は終息へと向かっていっておしまい。

 キャストは非常に豪華で、一度にこれだけの俳優が集まるのは今後難しいと思われるほどでした。ただし、登場人物が多いために視点が散漫になりがちで、誰か一人に感情移入するには情報が足りない感じでした。青年将校たちが何を思い、何のために命を賭けたのかが観客には伝わりにくく、二・二六事件の背景や動機を事前に知っていないと理解しづらいかもしれないです。

 また、事件の核心に迫るというよりも、「事件を起こしたあとの時間」と「家族の回想シーン」が繰り返される構成になっているため、ドラマとしての起伏に乏しく感じるところがあったと思います。回想も事件と直接つながっていない印象で、場面の切り替えも唐突で戸惑いました。

 とはいえ、近代史の重要事件を映像化した意義は大きく、俳優陣の演技も含めて見応えのある一本で。昭和史に興味のある人や、歴史映画が好きな人には強く刺さる作品だと思います。

☆☆

鑑賞日:2011/06/30 DVD 2024/02/01 Hulu

監督五社英雄 
監修河野司 
脚本笠原和夫 
原作笠原和夫 
出演芦田伸介 
新克利 
有森也実 
石橋保 
うじきつよし 
梅宮辰夫 
大和田伸也 
沖田さとし 
小野寺昭 
賀来千香子 
ガッツ石松 
勝野洋 
加藤武 
加藤昌也 
金子信雄 
川谷拓三 
久我美子 
日下武史 
坂田明 
佐野史郎 
三遊亭小遊三 
鈴木瑞穂 
関口誠人 
高部知子 
高松英郎 
高峰三枝子 
宅麻伸 
竹中直人 
田村高廣 
丹波哲郎 
鶴見辰吾 
仲代達矢 
長門裕之 
名取裕子 
根津甚八 
萩原健一 
藤岡重慶 
藤谷美和子 
松方弘樹 
三浦友和 
三上寛 
南果歩 
もたいまさこ 
本木雅弘 
安田成美 
八千草薫 
隆大介 
渡瀬恒彦 
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