●こんなお話
トルーパーの脳内にジェダイを殺そうとするチップが埋め込まれていることがわかったり、パドメの元カレが分離主義者になびいたり、メイス・ウィンドゥやヨーダが活躍する話。
●感想
全13話と比較的コンパクトな構成ながら、ひとつのエピソードが3話〜4話にわたって展開するものもあり、物語のスピード感が心地よく、テンポの良さが印象的なシーズンでした。
序盤から引き込まれたのは、クローン兵士たちの中に埋め込まれた“命令”の存在が明かされるエピソードです。ストームトルーパーが突如暴走し、ジェダイを攻撃してしまうという衝撃の展開。彼らの脳内に何かが仕込まれていたという事実が明かされていく過程には、不穏な空気と共に「この戦争の裏に何があるのか」という謎が深まっていく感覚がありました。
また、外交面でのドラマも描かれており、パドメが銀行連合と交渉をするために動く場面では、元恋人が交渉役として登場してきて、しかも彼が分離主義側に加担しているという展開がありました。信頼関係が揺らぐ中、タイミング悪くアナキンがその場にやってきてしまい、アナキンの嫉妬心が一気に噴き出してくるあたりは、ジェダイの在り方と個人の感情のせめぎ合いが垣間見えて興味深かったです。さらに、その交渉の裏で最高議長がうまく立ち回り、銀行グループのトップにおさまってしまうという流れもあり、パルパティーンの政治的な手腕が怖いほどに描かれていました。
アクション面でも見どころは多く、特にメイス・ウィンドゥがジャージャー・ビンクスとコンビを組んで活躍する2話は、意外な組み合わせながらも息の合ったチームプレイを見せてくれて、新鮮に感じました。ジャージャーのトンデモ行動に冷静に対処するメイスの姿もコミカルながら印象に残ります。
そして何より、このシーズンで特に印象深かったのは、ラスト数話で描かれたマスターヨーダの旅です。ヨーダが幻覚のようなビジョンを見始めることで、ジェダイ評議会の中でも「本当に大丈夫なのか」と周囲から疑われてしまう場面があり、普段は絶対的な存在として描かれるヨーダが内面の葛藤に揺れる様子が新鮮でした。クワイ=ガン・ジンの声に導かれて惑星ダゴバを訪れたり、謎の巫女と出会って精神世界のような体験を重ねていく描写には、フォースの神秘性があふれており、映像的にも見ごたえがありました。
最終的にはヨーダとダース・シディアスの戦いが描かれ、サービス満点の対決シーンとして、ファンには嬉しい場面だったと思います。ヨーダがただの賢者ではなく、時に迷いながらも導かれていく姿には重みがありました。
このシーズンでは、クローン製造のきっかけとなったマスター・サイフォ・ディアスについても詳細が語られていき、これまで断片的にしか明かされてこなかったストーリーの裏側に触れることができました。作品全体として、『スター・ウォーズ』の世界がより立体的に、そして深く掘り下げられていく構成になっていて、ファンとしては見逃せない内容だったと思います。短い話数ながらも密度が高く、政治、陰謀、精神世界と多角的に楽しめる濃密なシーズンでした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2021/12/24 Disney+ 2024/03/21 Disney+
総監督 | デイブ・フィローニ |
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原作 | ジョージ・ルーカス |