映画【座頭市鉄火旅】感想(ネタバレ):「あと一人しか斬れない!」緊迫感あふれる座頭市の新境地

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●こんなお話

 座頭市の仕込み杖が「残り1人斬ったら折れる」となっちゃって、それを機にカタギの世界に戻ろうとするけど案の定それは許されない方向に行く話。

●感想

 座頭市の武器である仕込み杖が、あと1人しか斬れない状態になってしまった――そんな制限が物語の冒頭で提示され、どうやって戦うのかというハラハラ感で物語を引っ張る構成になっていますが、座頭市シリーズの中でもひときわユニークで面白い設定でした。

 夢の中で自分が斬られるというシュールで印象的な映像もあり、座頭市の内面を感じさせる表現として興味深かったです。物語の基本はいつも通り、悪徳親分を倒してスカッとする勧善懲悪スタイルで、今回の見どころはやっぱりクライマックス。新しい仕込み杖を手にしてからの座頭市が、とにかくスピード感にあふれていて、あっという間に敵を斬り伏せていく姿がとにかくカッコいいです。短い尺の中でも、これだけのクオリティで作られていた時代って、本当に豊かだったんだなと、羨ましくなるほど。

 物語の中では、座頭市が自ら仕込み杖を作った刀匠の弟子にそれを預け、戦いから身を引いて平穏な暮らしを望もうとする場面も描かれる。しかし、お世話になる先では悪い親分たちが好き放題していて、座頭市の恩人たちを苦しめる。そんな状況で、仕込み杖もないのにどうやって戦うのか?というワクワク感があり、展開に引き込まれました。

 そして最後の戦い。座頭市が信じられないスピードで敵を次々となぎ倒していくシーンは、まさに娯楽時代劇の醍醐味。娯楽とスリルのバランスが絶妙で、テンポも良く、シリーズの中でも特にエンタメ性が高い一本だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日: 2015/01/27 DVD

監督安田公義 
脚色笠原良三 
原作子母沢寛 
出演勝新太郎 
藤村志保 
青山良彦 
藤田まこと 
水前寺清子 
東野英治郎 
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