●こんなお話
海洋油田で巨大ザメに襲われて脱出しようとする話。
●感想
海洋油田で働く職員たちが海中で謎の存在に襲われるという衝撃的なシーンから始まります。やがて、主人公とその家族がメキシコを訪れる。主人公は海洋油田の調査という仕事を兼ねており、家族にとっては一種の休暇旅行。しかし、彼らを迎える街の人々はどこか冷ややかで、不気味な雰囲気が漂ってる。
主人公が海洋油田へ向かうと、案内役の人物は何かをひどく恐れており、異様な空気が漂い始めます。一方で、街に残った家族は地元の住民たちに不穏な形で接近され、身の危険を感じて油田へ避難しようとします。
やがて家族を乗せた船が油田に到着し、主人公と再会を果たすものの、直後にその船が突如として巨大なサメに襲われるという展開に。サメの衝突によって油田の構造は崩壊寸前となり、無線も使えず孤立無援の状態に追い込まれる。
海中作業を試みた職員が命を落とす中、主人公の妻は、彼が提出していた調査書類の中に、油田崩壊の原因につながる情報があったことを知り、彼を激しく非難します。主人公自身も、企業の命令に従っていたとはいえ、自らがこの悲劇を招いたと自責の念にかられます。そして、彼は贖罪の意を込めて家族を逃がし、自らは油田に残って爆弾を抱え、巨大なサメに立ち向かう決意を固めます。
クライマックスでは、主人公の決死の行動によって爆発が起こり、油田が崩壊しておしまい。
本作は一見するとサメによるパニック映画のように思えますが、サメは単なる捕食者ではなく、どこか神聖で象徴的な存在として描かれており、環境破壊や人類の傲慢さに対する自然からの“報い”のようなニュアンスを強く感じました。期待していたような直接的なサメとの死闘を期待すると、やや肩透かしを食らうかもしれません。
ただし、序盤に描かれる地元住民たちの不気味な空気感や、追い詰められる家族の緊迫感には、ホラーとしての良質な怖さがあったと思います。特に、家族が街から逃れて油田に向かうまでの流れには自然な説得力があり、「そこまで追い詰められたなら職場に逃げるのも当然だ」と思える展開でした。
全体としては、サメ映画というジャンルに環境問題や贖罪というテーマを重ね合わせた異色の作品でしたが、伝えたいメッセージがやや強すぎたことで、説教臭さを感じてしまう場面もあったのが正直な印象です。
☆☆
鑑賞日:2024/08/11 Amazonプライム・ビデオ
監督 | エイドリアン・グランバーグ |
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脚本 | ボイズ・エスケーラ |
出演 | ジョシュ・ルーカス |
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