●こんなお話
アート・ザ・クラウンが復活して姉弟と周りの人間を襲っていく話。
●感想
前作の直後から物語が幕開けとなり、遺体安置所に静かに横たわる遺体が映る。その場面の静寂が、やがて恐怖の再来を告げる。殺人鬼は再び蘇り、姉と弟、そして母親という小さな家族が巻き込まれていく。
姉と弟は、父親を失った深い傷を抱えている。楽しかったはずの日常が、失意の中で揺れ動く。母親との間にも微妙な距離感が生まれており、笑顔の裏に冷えた気配が漂っていた。
ハロウィンの季節、弟が通う学校にクラウンが現れ、動物の死骸を投げつける事件が起きる。弟が疑われ母親が怒る中、姉は父が残した絵を基に、自らハロウィン衣装を手作りするなど、家族それぞれが悲しみに向き合おうともがいていた。
やがて殺人鬼は家族の周りに再び現れ、日常がひび割れていく。姉弟はその恐怖の中で震え、店員や友人たちが次々と犠牲になる。ハロウィンの夜、姉は友人とパーティーに向かうが、そこで恐怖の悪夢が現実となって襲いかかる。弟もまた危険に晒され、お化け屋敷の中で姉とともに殺人鬼から逃れる追走劇が繰り広げられる。
そんな中、「姉が殺人鬼を倒す」という父親の予言のような言葉を胸に、姉は恐れを振り切って立ち向かう。弟を守りながら、ヒーローのように覚醒していく姿がそこにはあった。
登場人物が次々と惨殺される描写は、まさにホラーの醍醐味を体現したものでした。目玉をくり抜く、首を切断する、内臓が飛び出すなど、人体破壊のリアルさは見る者の五感を揺さぶる。スタッフの巧みな創意が随所に見られ、恐怖と興奮が混ざり合った時間だったと思います。
特に弟の友人が殺される場面は、脳みそが露出したまま洗剤を傷口に塗られるという残酷さで、見ていて痛みを覚えるほどでした。その緊張と背徳的な痛みが、これまで味わったホラーとは違う衝撃として印象に残りました。
前作と比べてキャラクターや登場シーンが増したことで、映像の派手さは大きくなり、まるでシリーズが大作映画へと進化したかのような迫力がありました。けれど、クライマックスに向かうにつれて、お化け屋敷のような閉鎖された空間に舞台が移ることで、一部の派手さが抑えられた印象を受けました。そのうえ終盤は夢か現実か判別しにくい演出に変わっていき、好みによっては評価が分かれそうな部分だと感じました。
130分という上映時間は、じっくりと見せ場を積み重ねるホラーとしては納得の尺でしたが、やはり後半になるにつれて「またこれ?」という既視感に陥る瞬間もあったように思います。それでも、人体破壊の描写にこそ本作の魅力があり、物語のスリルと視覚的な衝撃の両方を求めるホラーファンには刺さる作品だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2023/06/02 TOHOシネマズ川崎
監督 | ダミアン・レオーネ |
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脚本 | ダミアン・レオーネ |
出演 | ジェナ・カネル |
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ローレン・ラベラ | |
デイビット・ハワード・ソーントン | |
キャサリン・コーコラン | |
グリフィン・サントピエトロ |