映画【テリファー】感想(ネタバレ):恐怖のビルと顔を喰らうピエロ、その夜に何が起きたのか

Terrifier
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●こんなお話

 殺人ピエロに殺される人たちの話。

●感想

 テレビの画面に映し出されるのは、血まみれの夜を生き延びた女性のインタビューだった。顔の傷が生々しく、静かな語り口の中に深く沈んだ恐怖がにじんでいる。その証言が終わると、場面はハロウィンの夜のファミリーレストランに移る。そこでは若い女性がいるが、突如としてピエロの仮装をした男が店に入ってきて、じっとこちらを見つめてくる。空気が一変し、不気味な沈黙が流れる。女性たちが不安を覚える中、店の男性スタッフがピエロを追い払う。

 やがて彼女たちは車に戻るが、タイヤがパンクしていることに気づく。一人が姉に電話をかけ、迎えに来てくれるよう頼む。その合間にトイレに行きたくなり、近くの古びたビルにいた男性に声をかける。男性は害虫駆除業者で、これから建物内でネズミ退治をするという。トイレを貸してもらい、ビルに足を踏み入れるが、なぜか出口がわからなくなり、建物内をさまようことになる。

 やがて、得体の知れない女性に話しかけられ、不気味な空気が濃くなっていく。その時、あのピエロが再び姿を現し、突然の襲撃が始まる。害虫駆除の男性も巻き込まれて命を奪われ、不気味な女性もピエロの標的となる。ヒロインは薬を打たれて意識を失い、目覚めた時には友人が目前で無残に殺されるという悪夢の中にいた。自らの拘束をどうにか解き逃げ出すものの、すぐに撃たれてしまう。

 その後、別の害虫駆除業者が同僚と連絡が取れないことを不審に思い、建物に足を踏み入れる。予想通りピエロが現れ、彼もまた犠牲となる。そしてようやく姉が到着し、妹を救おうと奔走するが、ピエロは執拗に追いかけてくる。逃げ回りながら警察に通報し、ついに警官が到着する寸前、姉の顔が食いちぎられてしまう。間一髪で警察に取り押さえられる直前、ピエロは自ら命を絶つ。

 だがすべてが終わったと思われた後、遺体安置所でピエロは不気味に蘇り、恐怖が終わっていないことを告げる。

 ピエロの無表情ともつかぬ、作り物のような顔がただただ恐ろしく、視線一つで空気が変わる力を持っていました。演出に頼らず、その造形だけで十分な怖さを醸していたのは見事だと思います。そして何より本作は、人体破壊描写に対する手間と情熱を存分に感じられた作品でした。内臓、切断、裂傷、噛みちぎり……視覚的に強烈な場面が次々に登場し、ジャンルとしての満足度は非常に高かったと感じます。

 殺人鬼であるピエロが撃たれても刺されても、何事もなかったように立ち上がってくる様子は、まさにスラッシャー映画の美学のようなもので、安心感すら覚える反復でした。ただ一点、冒頭のインタビューシーンの女性が突如司会者を襲いかかるくだりについては、その背景や意図がわかりにくく、やや置いてきぼりを感じたのも事実です。ですが、それもまた不可解さを増す演出のひとつだと解釈すれば、作品の一部として楽しむことができました。

☆☆

鑑賞日:2023/04/02 Amazonプライム・ビデオ

監督ダミアン・レオーネ
脚本ダミアン・レオーネ
出演ジェナ・カネル
キャサリン・コーコラン
マーガレット・リード
ケイティ・マグァイア
サマンサ・スカフィディ
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