●こんなお話
主人公たちの国が侵攻されたので一兵卒として頑張る主人公たちの話。
●感想
大王が政務を行う静謐な空間に突如として刺客が乱入し、主人公がその場を収めるように立ち回り、華麗に撃退する場面から物語は始まる。騒ぎののち、隣国が進軍を開始したとの報が入り、主人公も一兵卒として戦に加わることとなる。戦場では、5人ひと組の「伍」と呼ばれる小隊が編成され、主人公もその中に加わることになる。
伍の中には、物腰の柔らかいリーダーや、実の兄弟同士で構成された者たち、そして全身を白で包み他の兵士たちとは一線を画す、謎めいた人物が加わっていた。彼らとともに、主人公は敵が占拠している高地への突撃作戦に身を投じる。突進と激戦の末、どうにか敵を蹴散らすが、戦車部隊の反撃に遭い、退却もままならぬ中で死体の山を盾にしつつ応戦するという壮絶な場面が続く。
やがて味方の本陣を守るため、主人公と白い服装の兵士、さらにもうひとりの兵士が囮として敵軍に挑む。白衣の戦士が女性であることが明かされ、彼女がこの戦に身を投じた理由が、過去に起きた一族の悲劇に根ざしていることも回想によって語られる。姉との別れ、そして果たせなかった夢。その思いを主人公が言葉で引き出し、戦場の中で彼女の心に火を灯すような場面も描かれる。
その後、かつての伍の仲間たちと再び合流し、今度は敵の副将が立て籠もる丘を目指して再度の突撃が始まる。圧倒的な兵力差の中、味方の騎馬隊も援軍として合流し、一気呵成に攻め込んで副将を討ち取る。その混乱に乗じて味方の総大将が敵の本陣に斬り込み、大将同士による一騎打ちが展開される。
戦後、主人公は戦功によって昇進し、王の側近となる。しかし、王に刺客を送ったのではないかという疑惑の目が、丞相に向けられていることもほのめかされ、物語の最後には新たな不穏な気配が漂い始める。
合戦のスケールが非常に大きく、群衆劇的な興奮を味わえる場面が随所に散りばめられており、主人公をはじめとした登場人物たちが次々と敵兵をなぎ倒していく様子は、まさに壮観で見応えがありました。戦場に立つ兵たちの動きが群像として丁寧に描かれていて、それぞれのキャラクターが光っていたのも好印象です。
一方で、劇中では何度も「夢を持て」「ヒョウのため」といった台詞が繰り返され、やや強調が過剰に感じられる場面も。また、戦の場面は基本的に局地戦が中心で、大局的なストーリーの進展にはあまり寄与していない印象を受けました。
特に女性剣士の過去についての回想が長く感じられたことと、戦術的な部分で主人公たちがどうして大軍を相手に勝利できたのか、説得力がやや薄く、敵側があまりにも簡単に混乱していく流れが少し淡泊に感じられました。
それでも、渋川清彦さんの迫力ある登場場面をスクリーンで観ることができたのはうれしく、重厚な衣装や美術とともに大作ならではのスケールの中でしっかりと爪痕を残されていたのが印象的でした。
☆☆☆
鑑賞日:2023/04/01 WOWOW
監督 | 佐藤信介 |
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アクション監督 | 下村勇二 |
脚本 | 黒岩勉 |
原泰久 | |
原作 | 原泰久 |
出演 | 山崎賢人 |
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吉沢亮 | |
橋本環奈 | |
清野菜名 | |
満島真之介 | |
岡山天音 | |
三浦貴大 | |
濱津隆之 | |
真壁刀義 | |
山本千尋 | |
豊川悦司 | |
高嶋政宏 | |
要潤 | |
加藤雅也 | |
高橋努 | |
渋川清彦 | |
平山祐介 | |
玉木宏 | |
小澤征悦 | |
佐藤浩市 | |
大沢たかお |