映画【大河への道】感想(ネタバレ):伊能忠敬の地図に込めた想いと、弟子たちの絆を描く歴史ドラマ

taigahenomichi
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●こんなお話

 伊能忠敬をモチーフにした大河ドラマを作ってもらおうとする役所の人たちや伊能忠敬の弟子たちの日本地図作りの話。

●感想

 市役所で働く主人公が、地域のゴミ集積所のネットを直して、近所の人から「ありがとう」と声をかけられる場面からスタートします。

 その後、町おこしの講座に参加していた主人公が、ふと思いついた「大河ドラマを誘致する」というアイデアを発言。それが県知事の耳に入り、なんと主人公はドラマ化プロジェクトの中心メンバーに抜てきされてしまいます。

 まずは地元の有名脚本家に執筆をお願いしに行くが、あっさり断られる。それでも何度も通い続けた結果、やっと話を聞いてもらえることに。テーマにしたいのは「伊能忠敬」。でも脚本家は「鳥肌が立たなきゃ書けない」と言い切ります。

 そこで主人公たちは伊能忠敬記念館に脚本家を連れていきます。そこに展示されていた江戸時代の地図を見た瞬間、脚本家が衝撃を受ける。現代の地図とほとんど違わない精度だったということに。その感動から、脚本家はシナリオハンティングの旅に出ることを決意。主人公たちも一緒に旅をしながら、忠敬の人生をたどっていきます。

 ところが、実はその地図が完成したのは忠敬の死から3年後のこと。しかもそれを仕上げたのは、忠敬の弟子たちでした。

 ここからは回想パートに入り、忠敬の死を隠しながら弟子たちがどうやって測量を続けたのかが描かれていきます。幕府からスパイを送られたり、それをごまかすためにニセの祈祷師を雇ったりと、緊張感あるやりとりもありつつ、弟子たちは懸命に師匠の意志を守ろうとする。

 そしてついに完成した地図を将軍に届け、「よくやった」との言葉をもらうシーンは、じんとくるものがありました。

 現代に戻ると、脚本家は「主役は忠敬じゃなくて弟子たちにしたい」と言います。それに主人公も納得し、県知事に報告しておしまい。

 伊能忠敬をテーマにした映画は珍しく、彼の業績だけじゃなく、弟子たちの努力にもスポットを当てているのが新鮮でした。地図を作ることに命をかけた人たちの姿に、静かに感動させられます。

 ただ、作品全体はやや地味で、盛り上がりやテンポが少なめ。どこか学校で見る教育映像っぽさもあり、派手さを求める人には物足りないかもしれません。でも、その分とても丁寧で誠実に作られていて、歴史好きな人にはじっくり楽しめる一本だと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2024/07/14 NETFLIX

監督中西健二 
脚本森下佳子 
原作立川志の輔
出演中井貴一 
松山ケンイチ 
北川景子 
岸井ゆきの 
和田正人 
田中美央 
溝口琢矢 
立川志の輔 
西村まさ彦 
平田満 
草刈正雄 
橋爪功 
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