●こんなお話
殺し屋がNYにやってきて夢いっぱいのタクシー運転手のタクシーに乗ってきて検察の証言者をバンバン殺していくのに付き合わされる話。
●感想
ロサンゼルスの夜を舞台に、タクシー運転手のマックスはいつものように愛車を洗い、清潔な状態で仕事に出かけます。彼が乗せる乗客たちとの様子があって、ある女性とは気の合う会話を交わし、彼女が弁護士か検事ではないかと想像する。
次に乗せたのはスーツ姿の洗練された男で、男は大金を提示し、「今夜5人の客と会うため、それぞれの場所に運んでほしい」と依頼されて。マックスはその金額に惹かれて引き受けますが、最初の訪問先で、ビルの上階から死体が落ちてきて、車の屋根に激突。乗客の正体が殺し屋だと知ることに。
脅迫されたマックスは、恐怖と混乱の中で運転を続けます。途中でフロントガラスの損傷を警察に指摘されますが、偶然にも別の事件が発生してその場は切り抜けられたり。
ジャズクラブで、殺し屋はターゲットの一人であるトランぺッターと音楽談義を交わします。「ジャズクイズに正解したら命を助ける」と冗談めかして話しますが、答えを間違えたトランぺッターは殺される。
一方で警察もこの連続殺人に気づき、捜査を開始。マックスの母親から無線が入り、病院へ向かうことになります。そこで殺し屋も同行し、母親にあいさつしている隙にマックスは殺し屋の資料を捨ててしまい、計画に支障が。やむを得ず、殺し屋は依頼人のもとへ向かい、残りのターゲット情報を得て再始動。
その後、クラブでの暗殺未遂、警察との銃撃戦、タクシーでの逃走劇が展開され、追われる中でマックスと殺し屋との言い合いに発展。「夢を語るばかりで何も行動しないお前は、永遠にタクシードライバーだ」と言い放たれたマックスはついにブチ切れてタクシーを暴走させ、事故を起こします。
殺し屋は次のターゲットを目指して逃げ、マックスは警察に自首しかけますが、ターゲットが最初に乗せた検事だったと気づいて再び行動を開始。
クライマックスは、地下鉄での逃走・追跡劇。マックスはギリギリで検事を救出し、車内で殺し屋と対決。静かな夜の地下鉄に銃声が響き、「地下鉄で死んでも誰にも気づかれない」――みたいな一言を残して殺し屋は倒れて朝になっておしまい。
マイケル・マン監督ならではの緻密な夜の映像美と、リアルな銃撃音、静と動が絶妙に交錯するテンポ感が魅力です。トム・クルーズが演じる冷酷な殺し屋は見た目も動きもスタイリッシュで、夜のロサンゼルスにぴったりな存在感を放ってました。
一方で、殺し屋の完璧さには疑問が残る点も。最初の殺害では死体がタクシーに落ちてきてしまうなど、プロフェッショナルらしからぬミスが目立ちます。書類を簡単に奪われたり、強引な銃撃で証拠を残したりと、少々おマヌケにも見える描写があるのは否めません。
また、ラストの銃撃戦はやや唐突で、なぜタクシー運転手が撃ち勝てたのか明確な説明も少ないため、カタルシスが弱く感じる部分もありました。
それでも、夜の風景のかっこよさ、キャラクター同士の会話の緊張感、そしてトム・クルーズの存在感で、観て損のない一作です。シンプルな物語の中に、都市の孤独と人間の選択というテーマがしっかりと込められています。
☆☆☆
鑑賞日: 2009/05/27 Blu-ray 2014/12/09 Blu-ray 2024/07/13 NETFLIX
監督 | マイケル・マン |
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脚本 | スチュアート・ビーティー |
出演 | トム・クルーズ |
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ジェイミー・フォックス | |
ジェイダ・ピンケット・スミス | |
マーク・ラファロ | |
ピーター・バーグ |