●こんなお話
バットマンとかに捕まった囚人たちが魔女と戦う話。
●感想
死刑囚たちが特別任務のために集められて、命と引き換えに危険な作戦に参加させられる、という設定そのものはアメコミらしく、ひねりが効いていて面白くなりそうな要素がたくさん詰まっているように感じました。冒頭では、各キャラクターの能力や過去が紹介されていくのですが、人数が多いため一人ひとりの描写が薄くなってしまっていたのが印象的でした。しかも、それぞれがどういう人物なのか、なぜこの作戦に加わるのかといった感情的な背景がじっくり描かれるわけではなく、形式的に紹介だけされて話が進んでいくため、観ている側としては感情移入の入り口を見つけにくい構成になっていたと思います。
ウィル・スミスが演じるキャラクターも、職業が殺し屋ということで凄みを出そうとはしているのですが、どこかいつものウィル・スミスで、これまでの映画で見たような雰囲気のまま登場していたように感じました。そしてファンの注目を集めていたジョーカーも、本筋からは外れた立ち位置にいて、ストーリーに直接関係しない形で騒いでいるような描写が続き、物語の流れにあまり影響を与えていないように見えたのは少しもったいなかったです。正直に言ってしまえば、彼が登場しなくてもストーリーは成立するように思えました。
爆弾を首に埋め込まれた荒くれ者たちが、命令されて作戦に出発していくという流れはテンポよく進んでいきますが、チームとしての関係性や、それぞれが何を思って戦うのかがあまり見えてこないままにドンパチが始まるので、観ている側としても気持ちが追いつかず、置いてけぼりになってしまう瞬間が多かったように思いました。特にスリップノットというキャラクターは突然現れて、何も説明がないまま消えていくため、彼がどんな人物だったのか理解しないまま終わってしまったのが印象に残っています。
また、主人公たちが戦う敵が何者なのか、そして誰を救出するために動いているのかといった基本的な情報も後になってから明かされていく構成になっていて、観客と同じ目線で彼らの行動を追いかけていくのは意図的な作りなのかもしれませんが、それゆえにブヨブヨした人型の敵たちと戦っていても、その敵が強いのかどうか、なぜ戦っているのかという実感が伴いにくかったです。銃や刀、バット、ブーメラン、さらには超能力や炎など、各キャラの戦い方もバラバラで、その強さのバランスが見えないため、どこに緊張感を持てばいいのかもわかりにくくなっていたように感じました。正直なところ、空からミサイルを打ち込めば一気に解決するのでは、という余計な想像が浮かんでしまいました。
作戦の中で突然登場するカタナというキャラクターも、護衛役ということで同行しているようなのですが、クライマックス直前のバーでの語らいの場面でも普通に後ろに立っていたりして、どういうポジションでいるのかがつかみにくく、意図を読み解こうとするたびに雑念が浮かんでしまいました。
アクションシーンに関しても、全体的に画面が暗く、何が起こっているのかがわかりづらい構図が多く、せっかくのバトルなのに勢いを感じることができなかったです。クライマックスでは画面がピカピカと光り、そこに変身するキャラクターまで登場するため、何が起こっているのか把握するのが難しく、戸惑ってしまいました。そもそも敵の魔女は誰なのか、なぜ彼女が脅威となっているのかが最後まではっきりしないままで、設定が整理されていないように思えてしまいました。
さらに、あのおばちゃん司令官が明らかに標的になっていた場面で無傷で再登場してきたのも驚きで、あれは何だったのかと頭の中で整理がつかず、結局何も考えずに楽しめる作品とはならなかったというのが率直な感想です。
☆☆
鑑賞日: 2016/09/12 TOHOシネマズ川崎 2017/03/25 Blu-ray 2021/08/25 NETFLIX
監督 | デヴィッド・エアー |
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脚本 | デヴィッド・エアー |
出演 | ウィル・スミス |
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ジャレッド・レト | |
マーゴット・ロビー | |
ジョエル・キナマン | |
ジェイ・コートニー | |
スコット・イーストウッド | |
福原カレン | |
アダム・ビーチ | |
ベン・アフレック |
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