●こんなお話
探偵が人探しをしたら、その依頼人がその組長の息子を射殺しちゃって、ヤクザの親分の息子とさらに孫まで死んじゃったので、探偵のせいだとヤクザの親分から孫が死ぬまでの22時間以内に殺す。という無茶苦茶なタイムリミットを設定されて、最後の仕事に女の子がいなくなったお兄ちゃんを探してほしいという仕事をこなしたら人質誘拐事件に足を踏み入れていく話。
●感想
物語は夫婦を脅迫する男たちの登場から始まる。場面が切り替わると、主人公は元刑事で現在は探偵を名乗る中年の男として描かれる。彼のもとを訪れた刑事により、殺人事件の容疑者の面通しが行われるが、その容疑者は探偵の依頼人であった女性だった。彼女は夫を射殺したとされ、その夫は組長の一人息子であることが明らかになる。しかし彼女は弁護士を装った殺し屋によって命を奪われてしまう。組長は息子を失った衝撃から怒りを募らせ、さらに妊娠中だった息子の妻が急に産気づき、誕生した孫もわずか22時間13分しか生きられなかった。組長は探偵に「お前の命はあと22時間13分だ」と復讐を宣告する。
そこへ少女・深雪から「兄・洋一を探してほしい」という依頼が舞い込む。探偵は自身の命の刻限を悟りつつ、最期の仕事として少女の願いを受け入れる。探偵を監視していたやくざの側近・矢能は、当初は冷めた視線を向けていたが、傷つきながらも突き進む探偵の姿に心を動かされ、次第に協力するようになる。情報屋や薬の元締めを経由し、やがて隠されたアジトへと辿り着く。そこに囚われた洋一の姿があり、凶暴な金光が立ちはだかる。矢能が探偵に拳銃を貸し、窮地を救う場面は胸を熱くさせる。やがて二人は「正義」でも「利益」でもなく、ただ守るべきもののために共に戦う仲間となる。
クライマックスではアジトでの銃撃戦が繰り広げられ、矢能を人質にした金光との死闘を制して洋一を救出。深雪と兄が再会する結末に至る。矢能はやくざを引退し、探偵になるのも悪くないと語り物語は終わる。
主演の渡瀬恒彦さんと相棒役の成瀬正孝さんの存在感が抜群で、二人のバディムービーとしての魅力が強く、映画の半分がカーチェイスや銃撃戦という迫力も相まって最後まで楽しめました。探偵の名前がなく、命のタイムリミットを背負うという設定が緊張感を高め、やくざとの監視と協力の関係が物語に厚みを持たせています。「探偵!俺はお前に死んでほしくねえんだ」と熱く語る場面は告白のような名シーンで、思わず胸が熱くなりました。二挺拳銃で暴れる敵に挑む二人の姿も見応え抜群で、渋い男たちの熱量が画面いっぱいに伝わる娯楽性の高い作品でした。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2015/12/25 DVD 2025/08/30 DVD
監督 | きうちかずひろ |
---|---|
脚本 | きうちかずひろ |
出演 | 渡瀬恒彦 |
---|---|
成瀬正孝 | |
岸本祐二 | |
宮崎光倫 | |
酒井彩名 | |
平泉成 | |
酒井伸泰 | |
Bro.KORN | |
山西道広 | |
片桐竜次 | |
佐藤蛾次郎 | |
白島靖代 | |
竹中直人 |