映画【スターシップ・トゥルーパーズ2】感想(ネタバレ):伝説の兵士が魅せる戦場の孤高な戦い

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●こんなお話

 バグズの真ん中の前哨基地で助けを待つ兵隊たちの中に紛れ込むバグズたちの疑心暗鬼になる話。

●感想

 物語の舞台となるのは、バグズと呼ばれる異形の存在がひしめく惑星。そこに派遣された人類の部隊は、激しい戦闘の末、敵に包囲されてしまいます。仲間たちと連携しながら何とか前哨基地まで撤退するものの、そこに待ち受けていたのはさらなる試練でした。周囲を取り囲む敵の猛攻をなんとか食い止めながらも、部隊の上官がサイキック能力者であるものの、実戦経験がまったくなく、現場の混乱に拍車がかかっていきます。

 孤立無援の基地内には、ある噂が広がっていました。過去の戦闘で数々の武勲をあげた“伝説の兵士”が、殺人犯としてこの基地に収監されているというのです。誰もいない牢獄にその姿を発見した部隊は、戦力不足からやむを得ず彼を解放。すると、彼は独断で指揮をとりはじめ、途端に圧倒的な戦闘力でバグズを撃退していきます。命令を無視してまで戦場に飛び込む姿に、頼もしさと危うさが同居していました。

 そんな中、すでに戦死したと思われていた将軍が基地へと帰還。部隊の士気は一気に高まります。しかし喜びも束の間、兵士たちの間で異変が起こりはじめます。隊員がひとり、またひとりと不穏な言動を見せはじめ、どうやら新たなタイプのバグが兵士の体に入り込み、意識を操っていることが判明します。誰がすでに取り込まれているのか、誰を信じてよいのかわからない緊迫した空気が基地全体に広がっていきます。

 主人公がふとした接触から、バグが人間の内部に潜んでいることに気づく場面は、ゾクッとするような演出で印象的でした。しかしその警告も空しく、周囲の人々は次々と襲われていき、ついには伝説の兵士と主人公のふたりだけが生き残る形になります。追い詰められたふたりは、基地の屋上でついに将軍と対峙。そこにいたのはすでに人間の意識を失い、バグの意志によって動かされる将軍の姿でした。伝説の兵士はためらうことなく引き金を引き、将軍を撃ち抜きます。

 直後に救助部隊が到着し、主人公は脱出に成功。しかし、伝説の兵士は基地に残り、最後までバグと戦う道を選びます。その背中を見送りながら、物語はおしまい。

 映像面では前作と比較して明らかに予算が抑えられている印象はあるものの、光と影を巧みに使った演出や、セットを工夫することで見せ場を作っているのは見応えがありました。戦場の閉塞感や不気味な雰囲気は、シンプルな構成の中でも丁寧に描かれています。

 物語の中核を担う伝説の兵士は、過去に上官を殺したという経歴を持ちながらも、仲間思いで戦場では頼れる存在として描かれています。なぜ彼が罪を犯したのか、その理由が次第に明らかになる展開もあり、キャラクターとしての厚みを出そうとしているのが伝わってきます。ただ、そのほかの登場人物たちは典型的なキャラクター設定にとどまっており、個性という面ではやや物足りなさも感じられました。

 ストーリー後半は、人間の姿を借りて侵入する敵というモチーフが中心となり、「遊星からの物体X」や「ヒドゥン」を思わせる展開に変化します。このあたりからは既視感のある要素が多くなり、物語に新鮮さを求めるのは難しい部分もあります。また、場面によっては画面が暗く、何が起こっているのかがわかりづらいところもあり、視覚的なストレスを感じる箇所もありました。

 物語序盤で登場人物たちの背景や関係性を丁寧に描いておけば、彼らが次々と倒れていく展開にも感情移入しやすくなったはずですが、それがあまり描かれないため、展開そのものの面白みにも欠けてしまっていた印象です。それでも伝説の兵士の存在感や、狭い基地内で起きるサスペンスの雰囲気など、見どころはしっかりと存在していた作品でした。

☆☆

鑑賞日:2012/09/03 DVD 2023/07/09 U-NEXT

監督フィル・ティペット 
脚本エドワード・ニューマイヤー 
原作ロバート・A・ハインライン 
出演リチャード・バージ 
コリーン・ポーチ 
ビル・ブラウン 
エド・クイン 
ドリュー・パウエル 
エド・ローター 
ケリー・カールソン 
サイ・カーター 
ブレンダ・ストロング 
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