●こんなお話
スパイダーマンの正体として身バレしちゃったので有名人はつらいよとドクターストレンジに記憶をなくしてもらう魔術をするけど、うっかりミスでいろんな怪人が登場しちゃって改心させようと頑張る話。
詳細ネタバレあらすじ
前作の直後、ミステリオが遺した映像によってピーター・パーカーがスパイダーマンであることが世界中へ暴露される。さらにミステリオ殺害の容疑までかけられたことで、ピーターは一躍時の人となり、恋人のMJや親友ネッド、メイおばさんまで世間から注目される生活を送ることになる。
法的には弁護士マット・マードックの助けによって容疑は晴れるものの、世間の視線は変わらない。ピーターだけでなくMJやネッドもスパイダーマンの関係者という理由でMITへの進学を断られてしまい、大切な人たちの人生まで変えてしまったことにピーターは深く責任を感じる。
事態を元に戻そうと考えたピーターは、サンクタム・サンクトラムを訪れてドクター・ストレンジへ助けを求める。「世界中の人々から、自分がスパイダーマンである記憶を消してほしい」と頼み込み、ストレンジは禁断の魔術を発動する。しかし魔法の最中、ピーターが「MJだけは覚えていてほしい」「ネッドも」「メイおばさんも」と次々に条件を追加したため魔法は暴走し、多元宇宙に裂け目が生まれてしまう。
ストレンジは魔法を封じ込めることには成功するが、「ピーター・パーカーがスパイダーマンだと知っている者たち」が別世界から次々とMCU世界へ流入し始める。
その直後、高速道路の橋でピーターの前に現れたのは、『スパイダーマン2』の世界からやって来たドクター・オクトパスことオットー・オクタビアスだった。彼は目の前のピーターを自分の知るスパイダーマンだと思い込んで襲いかかるが、素顔を見て別人であることに気付く。戦闘中、スターク社のナノテクノロジーがオクタビアスのアームへ流れ込み、ピーターはアームの制御権を奪って拘束に成功する。
ストレンジはオクタビアスを地下牢へ閉じ込め、ピーターへ多元宇宙から来た者たちを捕まえるよう命じる。その後もサンドマンことフリント・マルコ、エレクトロことマックス・ディロン、リザードことカート・コナーズ博士が現れ、ピーターはMJとネッドの協力を受けながら彼らを次々と捕獲していく。
さらにホームレス施設では、混乱した様子のノーマン・オズボーンと出会う。彼はグリーン・ゴブリンの人格が表に出ておらず、自分が別世界へ飛ばされたことも理解できない状態だったため、ピーターは彼を保護し、ほかのヴィランたちとともにサンクタム・サンクトラムへ連れていく。
ストレンジは、彼らを元の世界へ送り返すしか方法はないと説明する。しかしピーターは、ヴィランたちが帰還後にスパイダーマンとの戦いで命を落とす運命にあることを知る。「助けられる命なら助けたい」と考えたピーターは、運命を変えようと決意する。
ストレンジは運命を変えることに反対するが、ピーターは魔法の箱を奪って逃走。ミラーディメンションで二人は激突するが、ピーターは数学の知識を応用して空間を利用し、ストレンジを閉じ込めることに成功する。
ピーターはハッピー・ホーガンのアパートへヴィランたちを集め、それぞれを治療する方法を考える。オクタビアスの暴走する人工知能チップを修復し、彼を正気へ戻すことに成功。さらにグリーン・ゴブリンの人格を消す薬剤も完成寸前までたどり着く。
しかしノーマンの中で再びグリーン・ゴブリンの人格が目覚め、エレクトロやリザードを扇動して暴れ始める。激しい戦いの末、ヴィランたちは逃亡し、建物の外ではピーターとグリーン・ゴブリンが壮絶な肉弾戦を繰り広げる。
グリーン・ゴブリンはパンプキンボムをメイおばさんへ投げつける。重傷を負ったメイは、ピーターへ「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という言葉を残し、静かに息を引き取る。最愛の家族を失ったピーターは、深い悲しみと怒りに飲み込まれてしまう。
姿を消したピーターを探すため、MJとネッドはストレンジのスリングリングを使ってポータルを開く。すると現れたのは別世界のスパイダーマンだった。最初にアンドリュー・ガーフィールド版ピーター・パーカー、続いてトビー・マグワイア版ピーター・パーカーが姿を現す。
二人はそれぞれ愛する人を失った経験や後悔を語り、復讐ではなく責任を選ぶことの大切さをトム・ホランド版ピーターへ伝える。三人は互いの経験を共有し、力を合わせてヴィランたちを救うことを決意する。
決戦の舞台は、キャプテン・アメリカの盾が建設中だった自由の女神像へ移る。三人のスパイダーマンは協力しながら治療装置を完成させ、リザード、エレクトロ、サンドマンを次々と元の姿へ戻していく。オクタビアスも味方となり、エレクトロの暴走を止める役割を果たす。
最後まで抵抗したグリーン・ゴブリンとの戦いでは、怒りに支配されたピーターが彼を殺そうとする。しかしトビー版ピーターが体を張って止め、アンドリュー版ピーターが薬剤を渡すことで、ピーターはノーマンへ治療薬を注射する。グリーン・ゴブリンの人格は消え去り、ノーマンは正気を取り戻す。
その頃、多元宇宙の裂け目はさらに広がり、無数の別世界の存在が侵入しようとしていた。ストレンジは裂け目を塞ぐ唯一の方法として、「ピーター・パーカーという存在を世界中の人々の記憶から消す魔法」が必要だと判断する。
ピーターはMJやネッドとの別れを受け入れ、自らその魔法を選択する。魔法が完成すると裂け目は閉じ、ヴィランたちと歴代スパイダーマンはそれぞれ元の世界へ帰還する。
世界中の人々はピーター・パーカーを忘れ、MJもネッドも彼を覚えていない。ピーターは約束どおりMJの働くカフェを訪れるが、新しい人生を歩み始めた二人の姿を見て真実を伝えることを諦める。
やがてピーターは小さなアパートへ引っ越し、自ら新しいスパイダーマンスーツを縫い上げる。スターク社やアベンジャーズの力に頼らず、一人のヒーローとしてニューヨークの街へ飛び立ち、新たな人生を歩み始めておしまい。
●感想
前作のラストからそのまま物語が始まり、正体を知られたピーター・パーカーが社会から注目され続ける展開は、これまでのシリーズとは大きく異なるスタートでした。ピーターだけでなくMJやネッドまで進学に影響が及び、彼らの人生が変わってしまう描写には、ヒーローであることの重さがよく表れていました。その状況を何とかしようとドクター・ストレンジへ助けを求めた結果、魔法の失敗からマルチバースが崩れ始める導入は非常にテンポが良く、一気に物語へ引き込まれました。
本作最大の魅力は、やはりサム・ライミ版とマーク・ウェブ版のスパイダーマンシリーズからキャストが再集結したことでしょう。トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールド、そしてトム・ホランドが同じ画面に立ち、共闘する姿を見られただけでも満足感がありました。さらに歴代ヴィランたちも集結し、それぞれのキャラクターが「あの後どう生きてきたのか」を描いてくれたことに感動しました。単なるファンサービスではなく、過去シリーズの物語に新たな答えを与える作品になっていた点も印象的です。
また、スパイダーマンというシリーズが一貫して描いてきた「力を持つ者の責任」というテーマが、本作でもしっかり貫かれていたのも良かったです。メイおばさんの「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という言葉が改めてピーターへ受け継がれ、彼が最後にすべてを失う決断を下す流れには胸を打たれました。
一方で、約2時間半という上映時間に対して、物語の進み方はややゆったりしている印象も受けました。ドクター・ストレンジとピーターの魔法を巡る対立は、発端そのものが少し軽率に感じられ、二人が本気で戦う理由としては納得しにくい部分がありました。ミラーディメンションでの映像表現や空間を利用したアクションは見応えがありましたが、戦いへ至る流れには少し引っかかるものがありました。
また、ヴィランたちを救うための治療法が比較的短時間で完成したことや、過去作の悪役を捕まえては逃げられる展開が繰り返される構成は、やや単調に感じました。ドクター・オクトパスがコミカルな立ち位置になっていたことも、過去作での重厚な存在感を知っている身としては少し複雑でした。
終盤では歴代スパイダーマンたちが過去を語り合う場面が長めに描かれますが、ファンには嬉しい反面、テンポを重視する方には少し冗長に映るかもしれません。クライマックスの戦いも夜のシーンが多く、誰がどこで戦っているのか把握しづらい場面があり、アクションそのものよりもキャラクター同士の再会へ重点が置かれている印象でした。
ラストの別れやエピローグも長めではありましたが、ピーターがすべてを失いながらも「近所の親愛なるスパイダーマン」として再出発する姿は美しく、シリーズの新たなスタートとして心に残りました。
細かな不満はありましたが、それ以上に歴代スパイダーマンとヴィランが一堂に会する豪華さは唯一無二でした。昔の東映オールスター映画のような夢の共演を現代のハリウッド超大作で実現した一本であり、その場に立ち会えただけでも十分に価値のある作品だったと感じました。
☆☆☆
鑑賞日:2022/01/13 T・ジョイPRINCE品川 2026/08/02 U-NEXT
| 監督 | ジョン・ワッツ |
|---|---|
| 脚本 | クリス・マッケナ |
| エリック・ソマーズ | |
| 原作 | スタン・リー |
| スティーヴ・ディッコ |
| 出演 | トム・ホランド |
|---|---|
| ゼンデイヤ | |
| ジェイコブ・バタロン | |
| ベネディクト・カンバーバッチ | |
| ジョン・ファヴロー | |
| マリサ・トメイ | |
| ウィレム・デフォー | |
| ジェイミー・フォックス | |
| アルフレッド・モリーナ |


