●こんなお話
レーサーの主人公が家族経営のレーシングチームに所属しているけど、大企業の妨害に負けずに戦う話。
●感想
カラフルで目がくらむような色彩と、スピード感あふれるカーチェイスが全編を駆け抜ける。まるで実写の世界をアニメに引き寄せていくような映像演出が印象的で、130分の上映時間、目と頭を奪われ続ける作品でした。
物語は、主人公の現在と少年時代をカットバックで行き来しながら始まっていく。家族とのレース風景や、彼自身の想いが重ねられる構成なのだけれど、序盤はその演出の意図が掴みきれず、少し戸惑いを覚える始まり方になっていました。
家族でレーサーとして活動している主人公は、大企業の社長からスカウトを受ける。しかし、その企業が主催するレースには裏で不正が渦巻いていて、主人公は参加を拒否する。すると妨害工作を受け、信じていたレースの世界からもはじき出され、家族の間にも沈黙が流れ始める。だが、そんな中で登場する謎の覆面レーサーや、命を狙われている韓国人レーサーとの出会いによって、物語は不正を暴く方向へと舵を切っていく。
レースシーンは派手で、ボタンひとつで飛んだり跳ねたり、仕掛けが次々に発動するまさに漫画的な世界。アニメ原作らしい大胆な展開が続く中、何でもアリなルールが連発されていくので、面白さを感じながらも、途中からはレースそのものに緊張感が薄れていく感覚も否めなかったです。
ストーリー全体としては、家族の絆が中心に据えられていて、主人公がどんなピンチに陥っても、家族が一丸となって助けに来る。その力の描き方がとても強く、危機を危機として引き延ばす演出よりも、すぐに乗り越えてしまう爽快感を大事にしているようでした。
映像からは、日本の文化へのリスペクトや、原作アニメへの深い愛情も感じられました。登場人物の髪型や背景美術、台詞回しなど、細部にわたって原作に対する敬意が込められていたと思います。
全体的に、色や音、スピードに身をまかせる体験を味わうような作品で、頭で物語を追うよりも、身体で画面に没入して楽しむようなアトラクション的な魅力をもった映画でした。鑑賞後には、不思議と心の中に派手な色とレース音が残っている、そんな作品だったと感じます。
☆☆☆
鑑賞日: 2008/12/10 DVD 2017/08/15 Blu-ray
監督 | アンディ・ウォシャウスキー |
---|---|
ラリー・ウォシャウスキー | |
脚本 | アンディ・ウォシャウスキー |
ラリー・ウォシャウスキー |
出演 | エミール・ハーシュ |
---|---|
クリスティーナ・リッチ | |
ジョン・グッドマン | |
スーザン・サランドン | |
マシュー・フォックス | |
ロジャー・アラム | |
ポリー・リット | |
ベンノ・フュルマン | |
真田広之 |
コメント