●こんなお話
過剰なジャーナリズムとかマスコミの言論の暴力とかの話。
●感想
1950年当時で強引な取材やゴシップ誌があったことに驚きでそれを知ることができるだけでも勉強になりました。週刊誌の編集長の「売れれば何でもいい」や「謝罪広告を片隅に出しておけばいい」などプライバシーの侵害なんかあったもんじゃないです。
ただ話の展開に?なところが多くてイマイチ乗り切れなかったです。三船敏郎さん演じる若手画家が事実無根の記事を出されて訴えるというジャーナリズムを問題点としていくのかと思いきや、三船さんに押しかけ弁護をする志村喬さんが出てきてから、この弁護士がメインとなっていきます。それについては別に問題はないと思いますが、この弁護士、全くのダメダメちゃんで結核で寝たきりの娘がいるけどお金に困って相手側から買収されちゃったりして。
問題は裁判をするには画家だけでなく一緒にいた声楽家の女性の連名でないと裁判ができないと。最初、この女性は画家とは違って裁判をすることは消極的なのにしばらくしたらいきなり裁判することに賛成するという。結構大事な決断だと思いますがあっさりすぎると思います。しかもこの女性、後半まったくの空気となるという描かれ方。
もう一つは、ダメダメ弁護士が押されっぱなしの裁判で今までダメだった自分に決別して正しいと思うことを決断しますが。そこも娘のある出来事で、その決断をするのはわかりますが。それも台詞で「娘がああなった」というだけ。ちょっとあっさりすぎだと思います。
蛍の光を延々と歌ったりクリスマスをみんなで祝うシーンを映すより、もっと描くべきところがあったのではないかと疑問に思ってしまう展開でした。ただオルガンを弾く三船敏郎という画はなかなかの衝撃でした。それとオートバイを疾走させる姿のカッコいい映画でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2013/03/29 Hulu
監督 | 黒澤明 |
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脚本 | 黒澤明 |
菊島隆三 |
出演 | 三船敏郎 |
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山口淑子 | |
志村喬 | |
桂木洋子 | |
千石規子 | |
小沢栄 |