映画【シン・仮面ライダー】感想(ネタバレ):新たな仮面ライダー、正義と記憶をめぐる戦い

Shin Kamen Rider
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●こんなお話

 人類を滅ぼそうとする組織を裏切った改造人間たちの戦いの話。

●感想

 組織から脱走し、命を狙われながらも反撃していく仮面ライダーの姿から物語は始まる。冒頭のアクションでは、森の中で追手と戦う主人公が暴れ回る姿が描かれ、掴みとしての勢いはしっかりと持っている。その後、組織を裏切った博士とその娘に出会い、主人公が改造人間としてどのような存在なのかが説明されていく。博士は逃亡の中で命を落とすが、その意志を継ぐ形で、主人公と娘の2人は先へ進んでいく。

 やがて、政府からの要請によって改造人間たちの存在が公に認知され、さまざまな敵が登場する。コウモリ型の改造人間は人間の意識に介入する能力を持ち、仮面ライダーとの頭脳戦のような一戦が展開される。また、ヒロインと因縁のあるハチ型の改造人間も現れ、過去をめぐるやり取りと対立が描かれていく。それぞれが組織に残るべきか、あるいは離れるべきかをめぐっての対話が重ねられるが、最終的には戦いへと発展する。

 その後、記憶を失ったバッタ型の改造人間が登場し、当初は敵としてライダーと対峙するものの、ヒロインの働きかけによって正義の心を取り戻す。新たに仮面ライダー2号として仲間に加わり、二人のライダーが揃って戦いに挑む姿が描かれていく。

 しかし、ヒロインがカメレオン型の改造人間によって囚われ、状況は一変する。二人のライダーは、組織の中心であるチョウチョ型の改造人間のアジトに乗り込み、最終決戦に臨む。ヒロインにプログラムされた仮面が敵の前に差し出されることで、戦いは感情的な局面を迎え、登場人物たちはそれぞれの道を選んで退場していく。そして、残された2号ライダーが皆の想いを胸に、バイクにまたがって走り出す場面で物語は締めくくられる。

 序盤のアクションから画面の動きがかなり激しく、森の中での戦闘では誰が誰に何をしているのかの把握が難しく感じてしまいました。視覚的な情報が多すぎて、全体の流れをつかむのが少し大変でした。仮面ライダーと敵改造人間たちとの戦いも、CGが多用される中でテンポがうまくつかめず、どうしても没入しづらいまま見進めていくことになりました。

 個人的には、工場の上で繰り広げられる2号と敵との戦いでCGキャラクターが飛び交う場面などが特に印象に残りましたが、見応えという点ではやや物足りなさも感じてしまいました。バイクチェイスやアクションの挿入タイミングについても、観ていて心が弾むような瞬間にはなかなかつながらず、少し距離を感じてしまったのが正直なところです。

 終盤の対決も、台詞を交わしながらの肉弾戦が続き、最後は頭突きで決着がつくという展開には、戸惑いを覚えてしまいました。ただ、仮面ライダー2号の快活なキャラクターや、1号との短いながらも強い友情は、画面を通してしっかり伝わってきました。二人が並んで構えを決めてから戦いに挑む姿には、子どもの頃に憧れたヒーローの面影を感じられて、自然と気持ちも高まりました。

 物語全体としては、悪の組織の改造人間が登場しては倒されていくという構成が繰り返される形で進行し、政府の介入なども描かれる中で、物語の地理的な広がりや位置関係がつかみにくくなる場面も多く感じました。気がついたら敵のアジトにいるという展開も多く、やや唐突に感じる部分もありました。

 また、主人公の過去や葛藤、博士の娘との関係など、人間ドラマ的な要素がしっかりと含まれているものの、描写が断片的で感情移入するには少し時間がかかってしまう印象がありました。120分という上映時間の中で、テンポの良さと感情の深さを両立させるのは難しかったのかもしれません。とはいえ、仮面ライダーという長年愛されてきたヒーロー像に新たなアプローチを加えた意欲作として、気になる部分を含みつつも挑戦的な一本だったと思います。

☆☆

鑑賞日:2023/04/01 イオンシネマ座間 2023/11/27 Amazonプライム・ビデオ

監督庵野秀明 
脚本庵野秀明 
脚本協力山田胡瓜 
原作石ノ森章太郎 
出演池松壮亮 
浜辺美波 
柄本佑 
塚本晋也 
手塚とおる 
松尾スズキ 
竹野内豊 
斎藤工 
大森南朋 
長澤まさみ 
本郷奏多 
松坂桃李 
市川実日子 
仲村トオル 
安田顕 
上杉柊平 
西野七瀬 
森山未來 
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