映画【上海要塞】感想(ネタバレ):中国SF映画の挑戦と限界

Shanghai Fortress
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●こんなお話

 中国が宇宙で発見して世界のエネルギー事情が変わった未来で、謎の宇宙人が襲来して上海全体が要塞になっていてそこで軍人さんたちの戦いや恋愛や青春の話。

●感想

 今どきの中国映画はハリウッド作品に匹敵するほどの映像技術を誇るようになってきたと思いますが、この作品に関しては、日本の大作映画と同程度のクオリティで、そこがやや物足りなさを感じる要因のひとつでした。しかも戦闘シーンがかなりの時間を占めていて、その手の作品に慣れていると、正直つらく感じる場面も多かったです。

 SF設定もやや飲み込みづらく、中国が宇宙で発見した新しいエネルギーによって世界が急速に発展し、産業構造が変化したという背景はあるものの、生活の描写は昔ながらのままで、車は普通、ラーメン屋などの風景も変わらず残っており、未来感があまり感じられませんでした。そのギャップにより、世界観に入り込みにくさがありました。

 襲ってくる宇宙人に関しても、敵の設定や目的がほとんど説明されず、巨大な母船が各都市に現れて攻撃してくるというだけなので、誰と戦っているのかよくわからないまま進んでいく印象がありました。

 そんな戦場の中で描かれるのは、若者たちの恋愛模様。好きな相手に告白できずに悩む仲間を「恐れずに行け」と励ますような、かなり古風な青春恋愛要素が差し込まれます。エピローグでは、主人公が憧れの教官との出会いを真っ白な背景で回想するという演出もあって、ある意味で突き抜けた恥ずかしさがありました。

 キャラクターの描き分けもあまり明確ではなく、次々に仲間が退場していく展開も感動的に描こうとはしていますが、感情移入しきれず、そこまで心は動きませんでした。

 同ジャンルの多くのSF映画を参考にしている姿勢は伝わってきましたが、それを超えるような斬新さや没入感には欠けていたのが残念です。それでも、戦闘シーンが多く、ツッコミどころ満載で退屈はしない作品だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2021/06/21 NETFLIX

監督タン・ファータオ
出演ルハン
スー・チー
ゴッドフリー・ガオ
シー・リアン
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