映画【福田村事件】感想(ネタバレ)

●こんなお話

　関東大震災後に千葉県で四国の行商人が殺される事件を描いた話。

●感想

　記者に乗って故郷の千葉県福田村に帰ってくる夫婦。記者で一緒になったのはシベリアで戦死した未亡人。駅で村長や遺族、新聞記者が出迎えて名誉の戦死なので記事にしてくれるうんぬんかんぬんがあって。村長と在郷軍人会の分会長が同級生で思想信条の違いが明確になる。

　四国から薬売りの行商団一行が旅立って若者の1人が故郷に好きな女性の見送りを受けて、途中途中で貧しい人に薬を売って移動。

　福田村では主人公が慣れない農業をしているところに村長が教員になってくれとスカウトするけどやる気のない主人公。船頭がいて、未亡人と噂になっていたり。若手新聞記者が真実を書きたいと言っても部長は国が言っている最後に全部朝鮮人の疑いって一文を書けと強制してくる。

　福田村では父親と奥さんが通じているのではないかと疑いを持つ男がいたり、主人公の奥さんは家を出る出ないとなったり、船頭を誘惑したり。そして関東大震災が起こって日本人が酷いことをした恐れから朝鮮人が酷いことをしているという噂が広まってくる。

　船頭と自分の妻がセックスしたのを目撃したけど何も言えない主人公。それを知った未亡人は船頭に怒ったり。行商人たちが船を渡ろうと船頭と交渉しているところが揉め事になって村人たちが集まってきて、主人公たちが村人の興奮を止めようとするけれど、1人が殺したことをきっかけに村人たちが襲撃して行商団を殺していく村人たち。

　けど日本人だったことが判明して、みんな茫然自失。生き残った行商団が故郷に帰って恋人が待っているところでおしまい。

　主人公が4年前の朝鮮での教会で日本軍の虐殺を目撃してから性的不能になって、奥さんは満足せずに船頭に身体を許したり。戦争に行っている間に自分の父親と奥さんが通じて子どもを産んだ疑惑のあとに、その父親の遺体に胸を当てて謝るとかもどういう気持ちで見ればいいのかわからなかったです。昔の日本の村は性行為が今の価値観とは違うというのを描いているのか。

　千葉日日の記者が現代的視点で「書かなければなりません」とかクライマックスのきっかけとなる行商団のリーダーが「朝鮮人だったら殺してもいいのか！」と叫んだり、台詞で正論を叫ぶというのも単純に好みではなくて盛り下がっていきました。

　クライマックスの虐殺も見せ場として盛り上がるのかと思いきやそれほどでもなく、もっともっと悲劇的であり残酷なものを期待していただけにあっさり風味で不完全燃焼に感じてしまいました。

　実際の虐殺事件を描くという力作で必見だとは思いますが、130分結構退屈で個人的には期待していただけに残念に感じる1本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2023/10/01 イオンシネマ座間