●こんなお話
宝石強盗事件に巻き込まれた女性たちと復讐に燃える男性がヤクザと戦う話。
●感想
なんといっても、この映画の魅力は緒方拳のカッコよさに尽きました。日本刀を手に、遠くからスローモーション気味にこちらに歩いてくるだけで、もう満足。全編通してその圧倒的な存在感と殺気を放ち続けていて、まるで侍映画のよう。
緒方拳が日本刀でヤクザを次々と斬っていくアクションは本当に見応えがあります。ただ、そのかっこよさに比べると、5人いるはずの女性陣が少し印象に残りづらいものでした。キャラの描き分けが甘くて、強く覚えているのはせいぜい3人くらい。せっかくならそれぞれの背景や動機がもう少し丁寧に描かれていれば、もっと感情移入できたかもしれないです。
物語のきっかけは、緒方拳が宝石店でたまたま居合わせたときに、ヤクザの下っ端が強盗に入ってきて、それを逆に横取りしてしまうところから始まる。奥さんを失った復讐に燃える男、逃げる女性たち、追うヤクザたち。三者入り乱れる混沌とした展開で、女性たちの行動がときどき唐突すぎてついていけなかったです。ついさっき知り合ったばかりなのにいきなり団結したり、簡単に裏切ってもまた許されてたり、行動の動機が弱くて説得力に欠けていたのがもったいないです。
大竹しのぶがなぜセーラー服で登場するのか、正直よくわからなかったり、夏川結衣の初登場シーンは、いきなり覆面男に服をビリビリに破られ、殴り返すとその男の顔から白い液体が垂れてくるという意味不明な演出で、思わず笑ってしまいました。喜多嶋舞の縛られシーンには目を引くものがあったが、やはり全体的に女性陣の描写が軽いと思われます。
とはいえ、鶴見辰吾が演じるモヒカンのヒットマンはインパクト抜群。青白い顔に凶悪な笑顔、しかも銃撃戦では楽しそうに暴れまくる。こういうキャラクターがいると、物語に一気に色がつきます。永島敏行と緒方拳の対決もかなり熱かった。無言の緊張感と迫力ある殴り合い、観ていて手に汗握る展開でした。
そしてクライマックス、ヤクザたちに包囲されて完全に詰んだように見える場面からの、まさかの展開。あのオチは予想外すぎて笑ってしまいました。どうやってあの修羅場から生き延びたのか、もっと詳しく描いてほしかったくらいです。
いろいろツッコミどころもあるけど、それをひっくるめて楽しめる、破天荒でスタイリッシュな一本。緒方拳がすべてをもっていく映画だと思います。
☆☆☆☆
鑑賞日:2010/01/16 DVD
監督 | 石井隆 |
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脚本 | 石井隆 |
出演 | 緒形拳 |
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大竹しのぶ | |
余貴美子 | |
喜多嶋舞 | |
夏川結衣 | |
西山由海 | |
松岡俊介 | |
片岡礼子 | |
山口祥行 | |
永島敏行 | |
鶴見辰吾 | |
左とん平 | |
多岐川裕美 | |
飯島大介 | |
寺島進 | |
阿部雅彦 | |
速水典子 | |
竹中直人 | |
椎名桔平 | |
寺田農 |