●こんなお話
サイボーグになった主人公が誘拐された奥さんを救うためにジェノサイドする話。
●感想
記憶を失った状態で研究施設のカプセルから目覚めた主人公ヘンリーは、科学者の女性エステルから、自身が事故によって瀕死の重傷を負い、サイボーグとして再生されたこと、そして彼女が妻であることを告げられるが、発声装置を装着する直前、超能力を操る男エイカン率いる武装集団が施設を急襲し、研究員たちを次々と殺害したうえでエステルを連れ去ってしまい、ヘンリーは逃走の末にモスクワ市街へと放り出される。
混乱する街中で謎の男ジミーに救われたヘンリーは、自身の身体が電力を消費するサイボーグであり、エイカンがテレキネシス能力を使ってサイボーグ兵士を量産しようとしていることを知らされ、エステルを救い出すためにジミーと行動を共にするが、その過程で人格の異なる複数のジミーが存在することが明らかになり、彼らは場面ごとに異なる役割を果たしながら現れては姿を消していく。
ヘンリーは工事現場、クラブ、高速道路、住宅街などモスクワ各地を駆け抜けながら、エイカンの手下やサイボーグ兵士と戦い続け、激しい戦闘によって身体を損傷しつつも、充電によって機能を回復させながら前進し、次第にエステルの居場所へと近づいていく。
最終局面でヘンリーはエイカンの拠点に辿り着き、大量のサイボーグ兵士を相手に死闘を繰り広げ、屋上でエイカンと対峙するが、圧倒的な超能力によって追い詰められた末、アドレナリン注射によって限界を超え、肉弾戦の果てにエイカンを打ち倒すことに成功する。
戦いの後、エステルは実はエイカンの妻であり、ヘンリーを兵器として利用していたことが明らかになり、ヘリコプターで脱出を図る彼女はヘンリーに発砲するも決定打を与えられず、最終的にヘリから落下して命を落としておしまい。
全編が主観映像で構成されており、落下、高所からのジャンプ、バイクから車への飛び移りなど、どのように撮影したのか想像するだけでも驚かされる映像が連続し、アイデアと労力を惜しみなく注ぎ込んだ作品であることは強く伝わってきました。眼球を首に巻いて情報を得るといった発想も非常に突飛で、制作者の自由さと勢いには感心させられます。
一方で、それらの工夫や熱量が一本のエンターテインメント映画としての面白さに結びついているかという点では、鑑賞中ずっと疑問が残りました。短編映像やテレビゲームとしてであれば純粋に楽しめた可能性は高いものの、物語としての起伏や緩急が乏しく、全編が見せ場で埋め尽くされているため、次第に刺激が平坦化してしまいます。
特に序盤の落下後から続く市街地でのアクション以降、画面の揺れが激しく、状況を把握する前に次の戦闘へ移行してしまうため、感情移入する余地が生まれにくく感じました。偶然都合よく武器やアドレナリンが転がり込む展開も多く、物語への没入を妨げる要因になっていたと思います。
また、超能力者という圧倒的な存在として描かれていたエイカンが、終盤で比較的あっさり倒されてしまう点や、クライマックスのサイボーグ軍団との戦いが単調な繰り返しに見えてしまった点も惜しく、見せるべき局面をもう少し整理してほしかった印象です。
全体として、人が操作しているテレビゲームを横から眺めているような感覚が強く残り、鑑賞後には映画というよりゲームを遊びたくなる作品でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2017/04/18 チネチッタ川崎 2018/03/28 Blu-ray 2025/12/24 U-NEXT
| 監督 | イリヤ・ナイシュラー |
|---|---|
| 脚本 | イリヤ・ナイシュラー |
| 出演 | シャールト・コプリー |
|---|---|
| ダニーラ・コズロフスキー | |
| ヘイリー・ベネット | |
| ティム・ロス |



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