●こんなお話
連続殺人を捜査する刑事さんたちの話。
●感想
定年間近のベテラン刑事と、配属されたばかりの若き刑事。雨の降りしきる街に呼び出された二人が向かったのは、ある奇妙な殺人現場だった。犠牲者はスパゲティを無理やり食べさせられて命を落とし、部屋には「大食い」の文字。明らかに異常性を感じさせる犯行に、捜査は困惑しながらも静かに幕を開ける。
その直後、次の犠牲者が発見される。法曹界の重鎮ともいえる凄腕の弁護士が命を奪われ、現場には「強欲」の二文字が残されていた。老刑事は、これが「七つの大罪」をなぞる連続殺人であると直感する。そして自ら図書館に赴いて資料を読み漁り、若い刑事にも文学に親しむよう助言を送る。弁護士の邸宅の絵画の裏には、何者かの指紋で文字が残されており、そこから一人の容疑者が浮上する。
SWATと共に突入した先にいたのは、まるでミイラのような状態にされた男。新たな犯行がすでに次へと進んでいることを告げるような展開が、容赦なく物語を加速させていく。やがて、図書カードの利用履歴という違法な手段で新たな容疑者を追い詰め、たどり着いた先で発砲。犯人との緊迫したチェイスの末、若い刑事は銃口を向けられるも、犯人はその場を立ち去る。
その後も殺人は続き、第4の犠牲者は娼婦、第5の犠牲者はモデル。それぞれ異様な手口で命を奪われ、残る罪と犯行がどのような形を取るのか、観る者は息を呑んで追いかけることになる。
一方で、老刑事は若い刑事の妻から信頼を寄せられ、家庭の悩みに耳を傾ける場面も挿入される。どこか距離を保ちながらも、人間としての温かみがにじむシーンは、作品全体の緊張感に一瞬の安らぎをもたらしてくれます。
そして迎える、異様に晴れ渡った朝。雨ばかりだった空がようやく姿を変えたその日に、突然警察署に現れる犯人。自らの意志で出頭し、「遺体の場所を教える」として刑事たちを荒野へ誘う。車を走らせ辿り着いた先に待っていたのは、配達業者のトラック。そして「若い刑事宛て」と書かれた小さな箱。その中身が、この物語を衝撃の終わりへと導いていく。
本作は終始、重苦しい雨音と冷たい色調の映像が相まって、空気に緊張を孕ませながら進んでいきます。あまりにも異様な犯行現場の数々に、鑑賞中は思わず目を見張ってしまうことが何度もありました。登場人物たちと一緒に、常に振り回されながら犯人像を追いかけていくような感覚になれる作品でした。
ただ捜査ものとして見た場合、派手な捜査手法や緻密なプロファイリングといったものはあまり感じられず、どちらかというと犯人が主導権を握って事件を進め、刑事たちはその後を追っていく構図が印象に残りました。とはいえ、ラスト2件の事件に込められた意味と展開には驚きがあり、観終えた後には静かな衝撃と深い余韻が残りました。
また個人的には、犯人の住まいが地下鉄の真上にあり、常に振動が響いているという設定が印象的で、そのストレスが人間をいかに歪ませるかという背景にもうっすらと想像を巡らせてしまう、そんな一作でもありました。
☆☆☆☆
鑑賞日:2011/05/22 Blu-ray 2023/01/28 Amazonプライム・ビデオ
監督 | デイヴィッド・フィンチャー |
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脚本 | アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー |
出演 | ブラッド・ピット |
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モーガン・フリーマン | |
グウィネス・パルトロウ | |
ジョン・C・マッギンレイ | |
リチャード・ラウンドトリー | |
R・リー・アーメイ | |
マーク・ブーン・ジュニア | |
ケヴィン・スペイシー |