●こんなお話
真っ白な顔のタッキーが笛吹いている話。
●感想
真っ白な子どもたちによって命を落としていく大人たち。その背景には、かつて子どもに対して心無い行為を行った過去があり、どうやらそれが原因となって呪いにかかってしまったらしい。物語は、呪いの兆候に見舞われた主人公が、限られた時間のなかでその原因を突き止め、何とかして解こうと奔走するタイムリミット・サスペンスとして展開していく。
呪いの根底には「子どもから恨みを買った大人が命を落とす」というルールがあるらしく、次第に周囲の大人たちが子どもによって襲われ、次々と命を落としていく。そのビジュアルは一見不気味さを感じさせるが、白塗りの無表情な子どもたちによる襲撃は、観る側の受け止め方によっては、どこかズレた印象すら残すものとなっている。
映画は全体として、児童虐待や幼児に対する加害といった題材を扱っており、決して軽い気持ちで観られる作品ではなく。それぞれの大人が抱える闇や過去が断片的に描かれていく中で、ある種の因果応報をテーマにしているようにも見えます。ただ、それをホラーとして成立させるには、恐怖演出においてもう一段階の工夫が必要だったのかもしれないです。
個人的には、ホラー描写に関してあまり驚きや恐怖を感じることができませんでした。演出のテンポやビジュアルの工夫などもやや控えめで、むしろ奇妙な可笑しさが残ってしまった場面も多く、ここは時代の感覚とホラーの表現の変遷を思わされる部分だったように思います。現代の観客にとって本当に恐ろしく感じるものを描くのは、簡単ではないということをあらためて実感しました。
登場する大人たちは、それぞれが極端なキャラクターとして造形されており、子どもに対して行った過去の行為に重たさがある分、観ていて距離を感じることも多かったです。ただ、それによって主人公の立場が相対的に浮かび上がってくるという構造にはなっていたと思います。
そして、作品全体においてもっとも印象に残ったのは、滝沢秀明さん演じる主人公が、終盤にかけて何とも言えない表情で笛を吹くシーンでした。物語の緊張感とはまた別の意味で観客の心を揺さぶるような演出になっており、この場面をどう受け止めればいいのか悩ましくも不思議な余韻が残ります。ある意味では、この映画の真のクライマックスだったのかもしれません。
☆
鑑賞日: 2018/03/08 DVD
監督 | 清水崇 |
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脚本 | ブラジリィー・アン・山田 |
清水崇 |
出演 | 滝沢秀明 |
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有岡大貴 | |
門脇麦 | |
尾上寛之 |
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