●こんなお話
おしゃべりが原因で他人を傷つけると思い込んでるヒロインに同級生たちが振り回される話。
●感想
冒頭、ヒロインの幼少期の回想から物語が始まる。彼女はラブホテルを「山の上のお城」と勘違いしていて、両親の離婚がその思い出と強く結びついてしまったというエピソードが描かれます。ただし、子役の演技がいかにも作られた感じで、そのうえトラウマの描写もあっさりしているため、ヒロインの内面の傷がどれだけ深いのかが伝わってこなかったです。そのため、映画を通して彼女の行動がただのワガママに見えてしまったのが正直な印象が強く。
失恋が原因で、みんなで練習してきた学園祭のミュージカルを本番当日に放棄して逃げ出すという展開も、どうしても納得できなかったです。彼女の気持ちに寄り添うような描写が足りず、「それはやってはいけないことでは?」という思いの方が強いと感じたり。加えて、周囲の仲間たちも最初は「ミュージカルなんてやりたくない」と言っていたのに、急に「やろうぜ」と熱くなる。その心変わりが唐突で、まるで集団催眠にでもかかったような流れに違和感を覚えました。
さらに、ヒロインが逃げたあとの代役も、最初は「そんなの無理だよ」と否定していたのに、またしても「やってやろうぜ」と二度目の急展開。感情の変化に説得力がなく、展開に乗り切れなかったり。
学園ものでありがちな「クラス全体で出し物を成功させよう」という青春ものとしても、トラウマと向き合うドラマとしても、どちらも中途半端に感じられた。物語の軸が定まらず、どこに感情移入すればいいのか分かりづらかったのが残念。
原作アニメとほとんど同じ構成で、実写にする意味が見いだせなかったのも引っかかりました。映像化の価値がどこにあるのか、見ていて企画そのものに疑問を感じてしまう作品でした。
☆☆
鑑賞日: 2018/06/12 DVD
監督 | 熊澤尚人 |
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脚本 | まなべゆきこ |
原作 | 超平和バスターズ |
出演 | 中島健人 |
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芳根京子 | |
石井杏奈 | |
寛一郎 | |
荒川良々 | |
大塚寧々 |
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