●こんなお話
ドラえもんたちの過失で現実世界が妖怪に支配されちゃったので元の世界へと戻そうとする話。
●感想
学校の演劇で『西遊記』をやることになるけど、のび太は孫悟空を演じたかったのに配役は村人。納得できないのび太は、本物の孫悟空を見つけるためにタイムマシンで唐の時代へ向かう。そこで、筋斗雲に乗ったのび太そっくりの孫悟空を目撃して大興奮。でも砂漠で倒れていた少年を助けたら「ありがとうございます、悟空様」と呼ばれて、なんと自分が孫悟空と勘違いされてしまう。
学校に戻って仲間にその話をするも、当然信じてもらえない。みんなで再びタイムマシンでその砂漠に向かうけれど、「同じ時間・同じ場所には行けない」ルールのせいで見つけられない。仕方なく、ドラえもんの道具でゲームの孫悟空の衣装を再現してなりきってみるが、しずかちゃんにはウケてもジャイアンに疑われて失敗。そのうちに、うっかりゲームを開けっ放しにしてしまったことから、ゲームの中の妖怪たちが現実世界に出てきてしまう。
それに気づかないまま現代に戻ると、街の雰囲気がどんよりしていて、お父さんやお母さんには角が生えていたり、学校では三蔵法師が妖怪に食べられるのがハッピーエンドになっていたりと、完全に世界がおかしくなっていた。のび太たちはパニック状態に。
ゲームの妖怪が現実を支配してしまったと知り、再び唐の時代へ。のび太たちは西遊記のキャラに扮して、本物の三蔵法師と彼のお供の少年リンレイと合流。妖怪に襲われる三蔵一行を守るため、金角・銀角と戦い、しずかちゃんがさらわれる事件も発生する。
やがて、リンレイが実は妖怪側のスパイで、三蔵法師が捕まってしまう。のび太は筋斗雲で偵察に行き、妖怪たちの本拠地・燃える山を発見するが襲撃を受け、他のメンバーも囚われてしまう。絶体絶命の中、ドラミちゃんが助けに来て、のび太は如意棒を巨大化させて牛魔王を倒す。ボスが倒れたことで妖怪たちも消滅し、元の世界が戻っていく。
リンレイは償いの気持ちから再び三蔵法師と旅を続け、のび太たちも現代でいつもの家族に会えて安心する、というラスト。
全体的にドラえもん作品としてはかなりホラー要素が強めで、日常が妖怪に支配される世界観が不気味すぎて、子どもが観たらトラウマになるかもというくらいお父さんお母さんの描写が怖かったです。タイムパラドックスをテーマにしたストーリー構造も面白く、前半と後半で登場人物の言動がリンクしていたり、視点が変わることで印象が変わったりと見応えがありました。
三蔵法師の弟子リンレイも、妖怪側にいたことへの後悔や、両親を失った過去など重たい背景が描かれていて切ないキャラでした。ただ後半のアクションシーンは勢いだけで、緊張感が薄く、やや退屈にも感じられたのが惜しいです。
それにしても、タイムパトロールがいる設定の世界で、これだけタイムマシンを乱用して大失敗をしているのに何のお咎めもないのが謎でした。最後のピンチもドラミちゃんに助けられて終了というのは、ちょっとご都合主義すぎてスッキリしなかったです。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2018/02/26 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 芝山努 |
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監修 | 楠部大吉郎 |
脚本 | もとひら了 |
原作 | 藤子不二雄 |
出演 | 大山のぶ代 |
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小原乃梨子 | |
野村道子 | |
たてかべ和也 | |
肝付兼太 |
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