映画【RE:BORN リボーン】感想(ネタバレ):都市と森を舞台に展開する日本発アクション映画|日常と非日常が交差する戦いの記録

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●こんなお話

 伝説の傭兵が昔の上官たちに命を狙われて身体をぐにゃぐにゃさせながら戦う話。 

●感想

 市街地の雑踏や静かな郊外、日本の日常の風景の中でアクションが繰り広げられるという点は、とても印象的でした。人ごみの中でいきなり銃が火を吹いたり、電話ボックスという閉ざされた空間の中での接近戦、さらにはコンビニでの格闘など、これまであまり見たことのないシチュエーションが次々と現れる。身近な空間でハードなアクションが展開されることで、非日常的な緊張感と独特なリアリティが生まれていたように感じました。

 特に冒頭の展開はテンポも良く、俳優陣の体を張った動きや、カメラワークによる迫力もあって、かなり引き込まれるもので。日本映画では珍しいタイプの演出も随所に見られ、観客として新鮮な驚きを持って楽しめる工夫がされていたと思います。

 しかしながら、映画全体として見ると、魅力が持続する構成にはなっていなかったように感じます。物語の前半では、斉藤工さん演じる車椅子のキャラクターとの会話劇や、精神科医とのセッションなど、ある程度時間をかけて人物背景が描かれるますが、その後の展開とは結びつかず、結果的に導入としての重みが薄れてしまっていた印象があります。

 物語が中盤から後半に差しかかると、舞台はほとんど森の中に移り、ナイフを使った戦いが延々と続く展開に。おそらく60分近くがそのパートに費やされていて、似たような構図の戦闘が繰り返されるため、集中力が持たなくなってしまいました。主人公は圧倒的に強く、次々と敵を倒していく構図が続くだけになってしまって、観客の視点としてはだんだんと受動的になっていきます。

 また、説明の部分もやや唐突に感じられて。若手のキャラクター2人が、主人公の過去について説明セリフで語る場面では、会話としての自然さに欠けていて、流れが止まってしまったような感覚があったり。特にそのうち一人の役者さんは英語は流暢に話されていたのだが、日本語のセリフがたどたどしく、内容が聞き取りづらかったのも気になってしまったり。

 アクションの熱量自体は感じられる作品だったと思います。おそらくスタッフ・キャストの皆さんが真剣に作られたことは伝わってくるものですが。しかしながら、脚本や演出のトーンがどこか気取った印象があり、セリフの言い回しや設定に過剰なかっこよさを求めすぎていて、逆に恥ずかしさを感じる場面が多かったのも正直なところです。

 終盤に向かっても、状況の大きな転換やキャラクターの内面の変化といったものはあまり描かれず、ひたすら殴り合いが続く印象になってしまった。アクションそのものの出来栄えが良かっただけに、構成や演出、ドラマ面の厚みがもう少しあれば、より魅力的な一本になったのではと感じました。

☆☆

鑑賞日: 2017/12/20 DVD 2020/06/18 Amazonプライム・ビデオ

監督下村勇二 
脚本佐伯紅緒 
出演TAK∴ 
近藤結良 
斎藤工 
篠田麻里子 
加藤雅也 
いしだ壱成 
大塚明夫 

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