映画【パニッシャー: ウォー・ゾーン】感想(ネタバレ):バイオレンスの連鎖と償いの物語、男たちの怒りが交錯するアクション劇

PUNISHER WAR ZONE
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●こんなお話

 犯罪組織を襲撃してたら潜入捜査官を間違って殺しちゃって引退を決意する主人公と犯罪組織の戦いの話。

●感想

 犯罪組織の一団を容赦なく銃でねじ伏せる主人公の姿から幕を開ける物語。銃声が鳴り響く中、逃げた一人を追っていくと、そこにいたのは子分たちとともに待ち構えるリーダー。彼らもろとも射殺して、リーダーをガラスの粉砕機へと突き落とすという衝撃的な導入でした。ここで終わりかと思いきや、物語はさらに一転していきます。

 主人公が殺した中の一人がFBIの潜入捜査官だったことが明かされ、事実を知った主人公は静かに動揺を見せます。その一方で、顔に傷を負って姿を消したはずのカタキ役が再び姿を現し、病院に入院していた弟を救出。そして部下二人と共に犯罪組織を復活させる流れになっていきます。主人公は罪を償うかのように、殺してしまった捜査官の妻と子に金を届けに行くのですが、受け取りを拒まれてしまいます。

 ところがカタキ役たちは、潜入捜査官が組織の金を持ち逃げしたと誤解し、その怒りを未亡人とその娘に向けてしまいます。彼らの家に押し入って暴れるカタキ役たちから、主人公とFBIが間一髪で救出。主人公は母子を自分のアジトにかくまうことになります。

 しかし安息の時間は長く続かず、主人公の外出中にアジトは敵の急襲を受けてしまい、母子が再び誘拐されてしまいます。さらに、主人公の協力者まで捕らえられ、敵側は主人公に恨みを持つ複数の犯罪組織の連合軍として立ちはだかる構図が出来上がります。満を持して主人公は殴り込みを決意し、銃を片手に敵の巣窟へと乗り込んでいきます。

 次々に現れる敵を倒していく主人公でしたが、敵は切り札として、捕らえた娘と相棒の命を天秤にかけるという選択を迫ってきます。緊迫する中、主人公はカタキ役の弟を撃ち、カタキ役も相棒の頭を撃ち抜くという凄惨な展開に。そして最後はカタキ役と主人公の殴り合い。決着は、カタキ役が炎に包まれながらもなお生きているという壮絶な終焉となっていきました。

 銃撃、爆発、殴打、炎上と、バイオレンス描写がこれでもかと詰め込まれており、銃弾が頭部を貫通して砕け散る映像などが頻繁に登場するため、そういった演出を楽しめる方にはたまらない内容だったと思います。個人的にも、それらのシーンには強い印象を受けました。

 ただ一方で、クライマックスの銃撃戦がやや平凡に感じられた部分も否めません。ここまでの過激さを保ったまま突き抜けてくれたら、より記憶に残る作品になったと感じます。また、主人公もカタキ役も、目的地までの移動があっという間で、相手のアジトへ殴り込み、戦って帰るという展開が繰り返される印象もありました。テンポの良さと言えばそうなのかもしれませんが、もう少し間や溜めがあっても面白かったかもしれません。

 それでも、暴力と因縁、報復と赦しというテーマを、圧倒的なアクションで突き詰めた一作だったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2023/05/06 Disney+

監督レクシー・アレクサンダー 
脚本ニック・サントラ 
アート・マーカム 
マット・ホロウェイ 
出演レイ・スティーヴンソン 
ドミニク・ウェスト 
ジュリー・ベンツ 
コリン・サーモン 
ダグ・ハッチソン 
ダッシュ・ミホク 
ウェイン・ナイト 
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