映画【プレデター:最凶頂上決戦】感想(ネタバレ):アニメで描くプレデター新章|3人の戦士が挑む時空を超えた戦い

Predator Killer of Killers
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●こんなお話

 バイキング、侍、第二次大戦のパイロットがプレデターと戦っていく話。

●感想

 北欧の古代、戦国の日本、そして第二次世界大戦下のアメリカ。それぞれ異なる時代と場所に生きる3人の戦士たちが、突如として姿を現すプレデターと対峙する――そんなコンセプトのアニメ作品でした。全体は3本の短編と1本の総決算的なエピローグで構成されており、それぞれの時代に合わせた戦いの様子と人間模様が描かれています。

 最初のエピソードは北欧が舞台。タイトルは「盾」。主人公は女性のヴァイキング。父を殺された復讐の旅に出ていた彼女は、仲間たちと共に敵対部族への襲撃を決行します。しかしその途中、突如として異形の存在・プレデターが現れます。人間の武器がまったく通じない圧倒的な力を前に、ヴァイキングは知恵と執念で立ち向かうことになります。氷河の川へ誘い込み、肉弾戦で仕留めるまでの流れには緊張感がありましたが、その代償は重く、彼女は大切な息子を喪います。復讐を遂げたはずなのに、そこには決して安堵とは言い切れない、静かな絶望の余韻が漂っていました。

 次の「剣」は戦国時代の日本が舞台。主人公は幼い頃に、実の父から「命を懸けた真剣勝負」を強いられた兄弟の兄です。弟との殺し合いを拒んだ彼は、家を追われ、のちに忍者として成長します。年月を経て再会した兄弟は、かつての確執を乗り越え、今度は力を合わせてプレデターに立ち向かうことになります。城の夜闇を舞台にした戦いは美しく、剣戟の一閃ごとに緊張が走ります。最終的には勝利を収めるものの、弟はその代償として命を落とし、再び深い余韻が残されました。

 最後の物語「銃」は、第二次世界大戦中のアメリカ。主人公は若い整備士の青年で、将来はパイロットになることを夢見ています。戦場の中で、彼は未知の敵=プレデターの存在を知り、仲間の命を救うため、修理した戦闘機で単独出撃。自らを犠牲にしながらもプレデターを倒します。大空を駆けるドッグファイトの臨場感はあり、クラシカルな航空戦にSF要素が混ざるのが新鮮でした。

 そして物語はエピローグへ。プレデターを倒したはずの3人は、実は敵の手によりそれぞれ捕らえられ、冷凍睡眠の状態で未知の場所へと運ばれていたのです。そこは闘技場のような異世界。プレデターたちの王が待ち受ける中、3人は協力して脱出を図ります。飛行士の青年が敵の宇宙船を操縦して突破を試みるシーンは、まさにクライマックス。ヴァイキングと忍者も乗り込むものの、最終的にはヴァイキングはひとり敵と戦うため船外に飛び降りて宇宙船を逃がして、再び冷凍されてしまうという。そこには『プレデター:ザ・プレイ』の主人公も…。という。

 アクションシーンはどのエピソードも緻密で、戦う時代によって使われる武器や戦術に工夫が凝らされていて楽しめました。ヴァイキングの斧、戦国の刀、忍具、さらには戦闘機による空中戦など、それぞれの時代ならではの見どころがあり、短編ながらも印象に残る場面が多かったです。人間が、異なる時代にそれぞれの手段でプレデターと向き合う姿には、どこか共通した精神性のようなものも感じられました。

 一方で、短編形式ゆえに一人ひとりのキャラクターの背景や感情の深掘りが物足りなく感じる場面もありました。それぞれの生き様がとても興味深いだけに、もう少し時間をかけて描いてくれたら、より心に響いたのではないかと感じることもあります。また、アニメーションとしては動きがよく、絵も美しかったのですが、やはりプレデターという存在の持つ「生っぽさ」「重さ」のようなものは、実写でこそ真価を発揮するのではないかと思う瞬間もありました。

 とはいえ、時代劇や戦争映画、SFがひとつに混ざり合ったような贅沢な構成で、テンポもよく、飽きずに最後まで楽しめました。プレデターシリーズの中でも、これまでとはまったく違ったアプローチで、挑戦的な実験作だったように思います。シリーズを観てきた方も、これが初めての方も、それぞれに楽しめる一本だと感じました。

☆☆☆

鑑賞日:2025/08/03 Disney+

監督ダン・トラクテンバーグ
脚本ミコ・ルテール
出演マイケル・ビーン
リック・ゴンザレス
ルーイ・オザワ・チャンチェン
リンゼイ・ラバンシー
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