映画【プレデター:バッドランド】感想(ネタバレ):戦士が辿る誇りと再生の物語

Predator: Badlands
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●こんなお話

 追放されたプレデターがロボットと盟友になって恐るべき獲物に挑むSFハンティング・バディものな話

●感想

 遥か彼方の銀河に浮かぶ惑星“ヤウージャ・プライム”。そこは、狩猟と名誉を最上の価値とする戦士たちの世界だった。若きヤウージャ戦士・デクは、その落ちこぼれの一族の恥とされていた。族長でもある父から処刑を命じられるが、兄が命を賭して彼を逃がす。デクは故郷を後にし、孤独な旅へと出る。

 彼の宇宙船がたどり着いたのは“ゲンナ星”と呼ばれる荒野の惑星。そこでデクは、自らの誇りを取り戻すため、最強の獲物“カリスク”を狩ることを決意する。カリスクはどんな攻撃を受けても再生する不死の怪物。数々のヤウージャを葬ってきた伝説の存在だった。

 その旅の途中、デクは地球の巨大企業・ウェイランド=ユタニ社の合成人間シアと出会う。彼女は任務の最中にカリスクの襲撃を受け、両脚を失いながらも生き延びた。デクは彼女を救い、奇妙な同盟関係を結ぶ。シアの目的は、ヤウージャが狩猟の頂点として恐れる“カリスク”を捕獲することだった。彼女の背後には、ウェイランド=ユタニ社の影が深く潜んでいた。

 ふたりはゲンナ星の荒野を進み、異形の生物たちに襲われながらも協力して生き延びていく。やがてシアの“姉妹機”であるテッサが現れ、ウェイランド=ユタニ社の部隊を率いてカリスクを捕らえようとする。しかし、倒しても再生を繰り返すカリスクに彼らは翻弄され、テッサは最終手段としてデクとカリスクを冷凍してしまう。

 目を覚ましたデクは、テッサたちの研究所に拘束されていた。彼を“標本”として利用しようとするテッサとの間に決定的な溝が生まれる。怒りに満ちたデクは拘束を破り、ゲンナ星の自然と生態を利用して即席の武器を作り、捕らえられたシアを救出に向かう。警備の合成人間たちを倒しながら進み、デクは再びカリスクを解放。テッサとの最終決戦が始まる。テッサがカリスクを凍結してしまう中、デクがとどめを刺す。

 戦いを終えたデクは、ヤウージャ・プライムへ帰還する。父と対峙する時が訪れる。父との一騎打ちの末、デクは勝利を収め、一族の狩猟者としての地位を手にする。彼のもとへ、母の宇宙船が近づいてきておしまい。

 アクションがふんだんに盛り込まれており、そのすべてがスタイリッシュで見応えがありました。特にヤウージャの戦闘描写は重厚感があり、一撃ごとに説得力がありました。宇宙人を主人公に据えながら、観客に感情移入させてしまう構成や見せ方は見事で、異星の物語でありながら、家族や誇りといった普遍的なテーマが強く響いていました。

 プレデターシリーズの新たな方向性を探ろうとしている試みを感じましたが、シリーズとしての“恐怖”や“狩る者と狩られる者”という関係性は少し薄まっているようにも思いました。とはいえ、ヤウージャの生態や文化を掘り下げることで、これまで語られなかった世界の広がりを感じられたのは興味深かったです。

 また、終盤でデクがゲンナ星の素材を利用して武器を作る場面や、彼自身が自然と共に戦う姿には、古き戦士の誇りと知恵が感じられました。派手なだけでなく、確かなテーマ性を感じる作品であり、プレデターという存在をもう一度見つめ直すような静かな余韻を残しました。

☆☆☆

鑑賞日:2025/11/09 イオンシネマ座間

監督ダン・トラクテンバーグ 
脚本ダン・トラクテンバーグ 
パトリック・アイソン 
出演エル・ファニング 
ディミトリアス・シュスター=コローマタンギ 
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