●こんなお話
遣唐使として唐へと渡ったけど帰れなくなっちゃった日本人。彼は皇帝の刺客として働いていて、反逆者で元将軍の暗殺と引き換えに帰国許可がもらえたんで、張り切って元将軍の命を狙うけど。元将軍と盗賊と戦ったりしていくうちに友情が芽生えていく話。
●感想
日本から遣唐使として13歳で唐に渡り、そのまま25年間帰国することなく生きてきた来栖旅人は、卓越した剣技を買われ、皇帝直属の密命を遂行する刺客として数々の任務を果たしてきた人物である。長年の功績により、彼はついに日本への帰国を許されるが、その条件として、唐の命令に背いた逆賊・李を捕らえ処刑するという最後の任務を命じられる。
李は唐軍の有能な武将であったが、突厥支配下の地で女性や子供を虐殺せよという命令を拒否し、人道を優先したことで反逆者の烙印を押され、追われる身となっていた。彼は仏教の高僧と、その身命をかけて守るべき仏舎利を西方の聖地へ運ぶ隊商に加わり、護衛として砂漠の旅を続けている。仏舎利は大きな霊的価値を持つため、冷酷非道な地方の権力者・安や盗賊、異民族の武装集団など、さまざまな勢力に狙われていた。
来栖は司令官の娘である文珠を伴い、李を追ってゴビ砂漠へと入るが、仏舎利を巡る争いの中で、来栖と李は激しく刃を交えることになる。しかし、隊商を壊滅させかねない強大な敵の出現により、二人は互いを倒すことよりも、人々と仏舎利を守ることを優先し、やむなく共闘する道を選ぶ。過酷な自然環境の中で幾度も死線を越えるうちに、敵でありながらも互いの剣の腕、武人としての誇り、そして信念を理解し合うようになっていく。
馬やラクダでのチェイスや水を探しての死闘を経て、仏舎利は目的地へと近づき、砦での決戦となっていって仏舎利を開いて不思議な力で敵が退治されておしまい
暗殺対象となる李が反逆者とされた理由が、非道な処刑命令に背いたためという点に、物語の芯となるテーマが明確に示されており、とても引き込まれました。主人公と敵対しながらも、僧侶が運ぶ教典と舎利を守るという使命を優先し、決着を先延ばしにする関係性は、王道ながら胸が熱くなる展開だと感じました。「お前を討つのは俺だ」という緊張感を保ったまま、共闘を重ねることで友情が芽生えていく流れは非常に魅力的です。
アクション面では、円を描くような香港映画らしい動きの中で、中井貴一さん演じる来栖だけが侍を思わせる殺陣を見せる点が印象的でした。その異質さが際立ち、日本人剣士としての存在感を強く放っていたと思います。中井貴一さんの身体表現や立ち姿から、アクション俳優としての新たな魅力を感じ取ることができました。ただし、斬撃音と左右への動きを中心にした描写が続くため、戦闘シーンの盛り上がりという点ではやや単調に映る部分もありました。
映像のスケール感は素晴らしく、中国の聖域や砂漠の雄大な景色の中を駆け抜ける場面と、連続する戦闘シーンには高揚感がありました。一方で、物語の終盤に差し掛かって急に幻想的な要素が強まる展開には、好みが分かれそうだと感じます。また、主要人物以外の仲間たちの描写が控えめで、個々の背景が伝わりにくいため、脱落していく場面でも感情移入しづらい点は惜しく思いました。
旅の中で仲間一人ひとりの個性や関係性を深めていく描写があれば、さらに熱量の高い作品になったのではないかと感じます。ヒロインであるヴィッキー・チャオさんは非常に美しく存在感がありますが、立場や役割が分かりにくく、現代的な雰囲気がやや浮いて見えたのも気になる点でした。とはいえ、次々と展開する戦いと冒険を楽しむ娯楽活劇としては、十分に楽しめる一本だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2014/07/31 DVD 2021/05/22 NETFLIX 2025/12/20 U-NEXT
| 監督 | フー・ピン |
|---|---|
| 脚本 | フー・ピン |
| 出演 | チアン・ウェン |
|---|---|
| 中井貴一 | |
| ヴィッキー・チャオ | |
| ワン・シュエチー |


