●こんなお話
あと1年で日本が沈没となって、政府がてんやわんやすると同時に深海探索艇のパイロットとハイパーレスキュー隊員の女性の恋の話。
●感想
日本列島は突如として異常な地殻変動に見舞われ、静岡県・駿河湾沖で発生した巨大地震をきっかけに、全国各地でこれまでに例を見ない災害が連鎖的に発生していく。深海潜水艇のパイロットである小野寺俊夫は、調査任務中の事故と同時に地上でも被災し、車の下敷きになって動けなくなるが、ハイパーレスキュー隊員の阿部玲子によって、瓦礫の中に取り残されていた少女・美咲とともに救助される。
その後も巨大地震、火山噴火、津波が日本各地を襲い、地球物理学者の田所雄介は、これらの災害が偶然ではなく、日本列島全体が海底プレートに引きずり込まれている結果であると突き止める。解析の末、田所は日本列島が一年以内に沈没する可能性があるという結論に至り、政府に警告を発する。
しかし、この予測は当初受け入れられず、非現実的な仮説として退けられる。ところが富士山の噴火や、西日本を壊滅させる巨大津波が発生したことで状況は一変し、政府は日本沈没を前提とした国家存亡の対応を迫られる。首相と関係閣僚は、アメリカ、中国、ロシアをはじめとする各国に日本国民の受け入れを要請し、国家規模の移住計画が水面下で進められていく。一方、国内では避難民が急増し、社会秩序は徐々に崩れていく。
小野寺、玲子、美咲は行動を共にしながら被災地を転々とし、瓦礫に埋もれた街や失われていく命を目の当たりにすることで、日本が確実に終焉へ向かっている現実を突きつけられる。そんな中、田所は最後の可能性として、日本を沈めている原因である海底プレートの引きずり込みを断ち切るため、海底深部に特殊爆薬を設置し、人工的な断層を作る計画を立案する。
この作戦には熟練した潜水艇パイロットが不可欠であり、田所の旧友である結城が先行して任務に挑むが、過酷な深海環境の中で命を落とす。その意思を引き継ぐ形で小野寺が、博物館に保管されていた旧式の潜水艇に乗り込み、極限状態の中で海底へ向かう。酸素も電力も尽きかける状況の中、小野寺は爆薬の設置に成功する。
爆破は連鎖的に作用し、日本列島を引きずり込んでいた力は断ち切られる。結果として日本の完全沈没は回避され、小野寺は奇跡的に救出される。国土は甚大な被害を受けながらも、日本は国家としての存続を保つことに成功する。最終盤では、災害対策大臣となった田所の元妻・鷹森沙織が国民に向けて再建への意思を示し、人々が喪失と向き合いながら未来へ進もうとする姿が描かれておしまい。
冒頭から樋口真嗣監督ならではの迫力ある災害描写が続き、日本列島が崩壊していく様子に強く引き込まれました。物語の早い段階で日本沈没という結末が示されるため、その後に描かれる人々の選択や行動が非常に重く感じられます。
物語の軸として、守るものを持たずに生きてきた主人公と、過去の震災で大切な人を失い心を閉ざしていたヒロインの関係が描かれ、人間ドラマとしても印象に残りました。
北海道の大地震、阿蘇山の噴火による熊本城の崩壊、津波や東京の水没など、日本各地の象徴的な風景が次々と破壊されていく描写は、特撮映画として非常に見応えがあり、観ていて胸が苦しくなる場面も多かったです。
主人公は感情が読み取りにくい人物として描かれますが、愛する存在ができたことで、自らの命を懸けて国を救う決断をする姿には強い感情を揺さぶられました。深海でのクライマックスは、自然と涙が込み上げる場面でした。
一方で、想定される被害規模の大きさに比べ、主人公周辺の描写が比較的落ち着いて見える部分があり、全体の緊迫感にやや差を感じたのも正直な感想です。また、主人公とヒロインの関係性の変化がやや急に感じられ、その過程をもう少し丁寧に描いてほしかったとも思いました。
現在の視点で鑑賞すると、原子力発電所に関する描写が存在しない点に時代性を感じる部分もありましたが、政府中枢で活躍する女性大臣や、最前線で命を救うハイパーレスキュー隊員の存在は、今観ても印象的で、作品に力強さを与えていたと感じました。
☆☆☆
鑑賞日: 2014/01/25 DVD 2025/12/23 DVD
| 監督 | 樋口真嗣 |
|---|---|
| 脚本 | 加藤正人 |
| 原作 | 小松左京 |
| 出演 | 草なぎ剛 |
|---|---|
| 柴咲コウ | |
| 及川光博 | |
| 福田麻由子 | |
| 吉田日出子 | |
| 柄本明 | |
| 國村隼 | |
| 石坂浩二 | |
| 豊川悦司 | |
| 大地真央 | |
| 富野由悠季 |


